刻一刻と近づく決戦へ、名伯楽の心はゆっくりと高鳴っている。アーモンドアイなど数々の名馬を手がけてきた国枝調教師だが、不思議と悲願の日本ダービーをはじめ牡馬クラシックには手が届いていない。70歳の定年引退までダービーを勝つチャンスは今年を含めて、あと2回。率直な意気込みを問われると、「なんか俺が勝利を渇望しているような話がいいんだろうけど、俺はいい加減だからな(笑い)」と、意外な“本音”を漏らした。自分が何を話したか忘れるくらい多くの取材を受けてきたことを示唆しつつ、周囲の喧騒(けんそう)をよそに泰然自若だ。
今年は無傷の3連勝でスプリングSを制したシックスペンスで挑む。優れたスピードを誇る一方で、まだ膝などに体質的な弱さがあるため、あえて皐月賞をパス。万全の状態でダービーに臨むため直行のローテを選択したのは、並々ならぬ勝負気配の表れだ。「どんな競馬もできるし、まだ負けていないとか、いろんな夢を描けるのはある」と、底を見せていない実力に期待を込める。 90年に開業して以降、ダービーには7度、8頭が挑戦して、過去最高は16番人気の伏兵で激走した18年のコズミックフォースの3着だ。最も自信を持っていたのは、牝馬ながら挑んだ21年のサトノレイナス。阪神JF、桜花賞と連続2着でも非凡な切れ味を目の当たりにして、「これならいける」と勝負に出た。「レイナスは別格にいい馬だったからね。動きもトータルで良かった。でも、それも競馬なんだろうけどな。少々悔いは残ったけど…」。レースは外の16番枠で、スローペースにより向こう正面でかかってしまい、ちぐはぐな内容で5着に終わった。“タラレバ”は禁物でも、嫌というほど勝負の厳しさを味わい、今では達観した雰囲気さえ漂わせる。
だからこそヴィクトリアマイルのフィアスプライド、オークスのステレンボッシュと2週連続のG1・2着に天を仰いでも、立ち止まることはない。オークスのレース直後、報道陣から「ダービーこそは…」と聞かれると、「分かりました!」と苦笑いを浮かべて悔しさを押し殺した。中国の故事をもじった「人間万事塞翁が競馬」を座右の銘とする国枝師。その目はぶれずに夢を見つめている。(坂本 達洋) ◆国枝 栄(くにえだ・さかえ)1955年4月14日生まれ、岐阜県出身。69歳。東京農工大卒業後、78年から美浦・山崎彰義厩舎で調教助手。89年に調教師免許を取得して90年に開業。2010年にアパパネ、18年にアーモンドアイで牝馬3冠達成。JRA通算1075勝。JRA・G1・22勝を含む重賞67勝。
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