10連勝を含む月間18勝7敗で他球団を一気に引き離した8月に、めざましい活躍をした。同5日DeNA戦は球団65年ぶりの快挙となる1試合4安打3盗塁。翌6日は球団史上3人目となる入団から5年連続100安打を達成した。15試合連続安打もマークした。7月2日巨人戦で死球を受けて右肋骨を骨折し、離脱中にチームは5勝6敗と苦しんだだけに、復帰後の存在感が際立った。
年間で見ればパフォーマンスとともに、リーダーシップでも周囲に大きな影響を及ぼした。選手会長として若手がプレーしやすい環境づくりにも尽力。ルーキー森下にはプロの心得や、ひた向きに取り組む阪神の伝統を伝えた。胸の中には「僕や大山、中野が打っても当たり前と思われる。輝や森下が打ってくれたら流れに乗る。どんどん調子に乗ってほしい。勝敗の責任を背負わずに」という思いを秘めていた。 くしくも、同じ94年生まれの28歳、大山も若手が萎縮しないよう「失敗しても気にするな。俺たちがカバーする。思い切ってやれ」とよく声をかけていた。主力が懐深く構えることで、森下を筆頭に、前川、小幡、小野寺らが力を発揮した。 おおらかな雰囲気を象徴する場面があった。森下は、応援歌ができた8月29日DeNA戦の試合前、円陣で「一曲いきます」と言ってから“マイ応援歌”をアカペラで歌った。岡田監督に眉をひそめられたものの、令和のノリで盛り上げに一役買った。ドラ1ルーキーは、大事な終盤戦で勝敗につながる打点を何度も挙げた。堅苦しくないムードが、経験が浅い選手の背中を押していた。(阪神取材班)
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