岡田野球を象徴するのが四球の数だ。12球団で唯一、今季450個を超え、1試合平均3・5個を誇る。「目」でチャンスをつくり、走者をためたことが、12球団最多の得点力を生んだ。
岡田監督は昨年10月の就任からある思いを抱いていた。「去年までを見てたら、どっちかっていうたら初球から早打ちのチームやったからな。もったいないなって」。評論家生活のスタンド席からは、タイガースの選手がそんな風に映った。2月の春季キャンプですぐ改革に取り組む。ミーティングで「フルカウントからの1球を我慢しよう」と訴えた。同時にニンジン作戦にも着手。フロントに掛け合って年俸査定の四球の評価を安打並みに上げてもらい、開幕直前に選手に説明した。 当初は、3ボール2ストライクからの見極めを求めた方針が、シーズンが始まると、選手主導で変化が出てきた。カウントにかかわらずボール球に手が止まると、ベンチが盛り上がるようになった。岡田監督も、明らかなボール球に手を出せば、メディアを通じて何度も苦言を呈した。その結果、DeNAの今永が「今年は本当に振ってこない」と舌を巻くほどバットが止まり、昨季の358個から急増した。
その一方で、柔軟に方針を変えた点もある。盗塁はベンチから“ここで走れ”とサインを出す「ディスボール」を基本線にしていたものの、前半戦は失敗が相次いだ。中野は「自分のタイミングで走れないのは難しい」とこぼし、近本はスタートを切れない試合が相次いだ。シーズン中盤から、一部の選手を除いて、選手に任せる「グリーンライト」を導入。その結果、近本と中野は水を得た魚のように走って盗塁数が伸び、勝利につながった。猛虎不動の1、2番は、近本が盗塁ランクリーグ1位、中野が2位に君臨している。
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