「エッ、あの伊之助が庄之助に？」。貴景勝の秋場所優勝で幕を下ろしたはずの大相撲は、いまだ土俵外の話題で持ちきりだが、一番の〝サプライズ〟だろう。現在唯一の立行司の式守伊之助（６４）が、丸８年以上空位になっている最高位「木村庄之助」を襲名することが、日本相撲協会から９月２８日に発表された。
伊之助は秋場所９日目の大関豊昇龍―関脇琴ノ若戦で、昇進以来１１度目の差し違え。裁きが自信なさげで安定しないうえ、位置取りの悪さで力士とぶつかり土俵下に落ちたこともあった。今年名古屋場所の大関霧島―翠富士戦では、まわし待ったをかけたはいいが締め直すのに悪戦苦闘。肩にかけていた神聖な軍配を、土俵に落とす大失態を演じている。 「立行司として見ちゃいられない」との声も聞こえるその人が、行司の横綱でもある庄之助になる。襲名は１２月２５日付で、来年９月２２日で６５歳の定年になるため庄之助は約９カ月だけ。丸５年も伊之助でやってきたので、最後に花を持たせようということなのか。 行司はほぼ年功序列とはいえ、力士と同様に裁きや土俵上の動き、掛け声などの所作も技量として加味されるはず。大関で何年も苦労しても、横綱になれずに土俵を去る力士もいる。そう考えると庄之助昇進は甘いのでは、と言われても仕方あるまい。
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