【イギリスの元スパイが説く】スパイが駆使する情報分析の意外な目的とは?

【イギリスの元スパイが説く】 スパイが駆使する 情報分析の意外な目的とは? - イギリス諜報機関の元スパイが教える 最強の知的武装術――残酷な時代を乗り切る10のレッスン

ダイヤモンド社, 週刊ダイヤモンド

2022/01/29 6:30:00

【イギリスの元スパイが説く】 スパイが駆使する 情報分析の意外な目的とは? - イギリス諜報機関の元スパイが教える 最強の知的武装術――残酷な時代を乗り切る10のレッスン

重要な政治決定の裏側には、スパイが絡んでいる。かつての国際的な危機や紛争、国家元首の動きもすべてお見通しだった。それは単なる偶然ではない。政治指導者の力でもない。さまざまな情報を分析したスパイたちのおかげだった。イギリスの“スパイの親玉”だったともいえる人物が、『イギリス諜報機関の元スパイが教える 最強の知的武装術 ――残酷な時代を乗り切る10のレッスン』を著した。スパイがどのように情報を収集し、分析し、活用しているのか? そのテクニックをかつての実例を深堀りしながら「10のレッスン」として解説している。マネジメントを含めた大所高所の視点を持ち合わせている点も魅力だ。本書から、その一部を特別公開する。

●事態が予想外の進展を見せたため、今後の展開の予測が不可能になるSEES分析(状況認識・事実説明・状況予測・戦略的警告)の手法は、国家の問題以外にも使える。本質的には、私たちの思考にある合理性に訴えかけるものだからだ。筋道を立てて理性を働かせれば、受け入れがたい選択肢しかなくても、より堅実なものを選ぶことができる。それには「知っていること」「知らないこと」「おそらくそうだと思うこと」を区別することも含まれる。そうした思考は難しく、整合性を必要とする。仏教の教えでは「貪欲・怒り・無知」が判断を曇らせるといわれている。怒りという感情によって、何が真実で、何が真実でないかの認識がゆがめられることがあるのを意識しなければならない。

世界は予測可能だと思わせてくれるような古い考え方に執着すれば、危険が大きくなっていることに気づかず、そのせいで不意をつかれる。何も知らなければ、損害は大きくなる。そうした貪欲・怒り・無知の状態を減らして、日々、より良い意思決定や選択ができるようにするのがSEES分析の目的とも言える。1982年3月、運命の日。マーガレット・サッチャー英首相は、情報報告書が何を伝えているかを即座に把握した。アルゼンチンの軍事政権がおそらくたくらんでいること、それが自分の政権に与える影響をすぐに理解したのだ。次の言葉が、その知見を活かすことができる彼女の能力を示している。

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【イギリスの元スパイが説く】情報分析官(スパイ)の考え方――SEES分析とは?重要な政治決定の裏側には、スパイが絡んでいる。かつての国際的な危機や紛争、国家元首の動きもすべてお見通しだった。それは単なる偶然ではない。政治指導者の力でもない。さまざまな情報を分析したスパイたちのおかげだった。イギリスの“スパイの親玉”だったともいえる人物が、『イギリス諜報機関の元スパイが教える 最強の知的武装術 ――残酷な時代を乗り切る10のレッスン』を著した。スパイがどのように情報を収集し、分析し、活用しているのか? そのテクニックをかつての実例を深堀りしながら「10のレッスン」として解説している。マネジメントを含めた大所高所の視点を持ち合わせている点も魅力だ。本書から、その一部を特別公開する。

●他者の動機・育ち・文化・背景に対する理解が浅く、説明ができない ●事態が予想外の進展を見せたため、今後の展開の予測が不可能になる SEES分析(状況認識・事実説明・状況予測・戦略的警告)の手法は、国家の問題以外にも使える。本質的には、私たちの思考にある合理性に訴えかけるものだからだ。 筋道を立てて理性を働かせれば、受け入れがたい選択肢しかなくても、より堅実なものを選ぶことができる。それには「知っていること」「知らないこと」「おそらくそうだと思うこと」を区別することも含まれる。そうした思考は難しく、整合性を必要とする。 仏教の教えでは「貪欲・怒り・無知」が判断を曇らせるといわれている。怒りという感情によって、何が真実で、何が真実でないかの認識がゆがめられることがあるのを意識しなければならない。 世界は予測可能だと思わせてくれるような古い考え方に執着すれば、危険が大きくなっていることに気づかず、そのせいで不意をつかれる。何も知らなければ、損害は大きくなる。 そうした貪欲・怒り・無知の状態を減らして、日々、より良い意思決定や選択ができるようにするのがSEES分析の目的とも言える。 1982年3月、運命の日。マーガレット・サッチャー英首相は、情報報告書が何を伝えているかを即座に把握した。アルゼンチンの軍事政権がおそらくたくらんでいること、それが自分の政権に与える影響をすぐに理解したのだ。次の言葉が、その知見を活かすことができる彼女の能力を示している。 「すぐにレーガン米大統領と話さないと。ガルチェリ(当時のアルゼンチン大統領レオポルド・ガルチェリ)を説得して、こんな馬鹿げたことをやめさせられるのは、彼だけだから」 私はホワイトハウスを含めて、米当局に英政府通信本部(GCHQ)の最新情報を伝える役割を任じられた。英首相官邸には、レーガン大統領にガルチェリと話をして、戦闘はもちろん、上陸部隊を送り込むことがないよう確約をとってほしいことを伝え、さらにイギリスはいかなる侵略も認めないことを警告するサッチャー首相からガルチェリ宛ての私信を大急ぎで準備した。ところが、アルゼンチン政権はガルチェリと話をしたいというレーガン大統領の要請を先送りにしたため、侵略を中止するには手遅れの事態になった。 運命の日から2日後の1982年4月2日、アルゼンチン軍がフォークランド諸島に侵攻した。当時、同地域にはイギリス海軍の小規模な分遣隊と軽武装の氷海警備艦が活動しているだけだった。そのため、アルゼンチン軍に対抗するのは、実質的に不可能だった。イギリス海軍の後続部隊が4月2日のうちに来られる距離でもないし、唯一の空港は、長距離部隊輸送機を受け入れるには滑走路が短すぎた。 アルゼンチンが何を狙っているかという「状況認識」をするための的確な情報がなかったし、わかったことの意味が理解できず「事実説明」もできない。さらに事態の展開も「状況予測」できなかった。さらにこうした事態が起こるという「戦略的警告」を長年にわたって発せずにいたため、アルゼンチンの侵略を阻止するための対策を講じていなかった。 SEES分析の4つのどの段階もうまくいっていなかった。すべてが教訓となったのだ。