「経済安全保障で日の丸半導体復活」の欺瞞 〜 本当に力を入れるべき先端産業とは(梶原 麻衣子)

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【経済安全保障:注目特集】 「経済安全保障で日の丸半導体復活」の欺瞞 〜 本当に力を入れるべき先端産業とは サキシル 経済安全保障

katerinasergeevna / iStock――日本における「経済安全保障」議論の象徴となっている「戦略物資」が半導体です。報道を見ていると、半導体は「産業界のコメ」と呼ばれ、これがなければハイテク機器は作れない、しかし日本では生産できない状態にあり大変だ、中国のものは怖くて使えないし、いざというとき入ってこない、だから世界トップメーカーである台湾のTSMCの工場を日本に誘致し、さらに「これで日の丸半導体も復活だ」……という流れ(ストーリー)になっている印象です。東京大学公共政策大学院教授。立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。修士(国際関係学)。英国サセックス大学ヨーロッパ研究所・現代ヨーロッパ研究専攻博士課程修了。Ph.

もっと言えば日本はこうした最先端の半導体を使う必要のある、データ量の大きい動画や画像の処理が必要な高度な製品、例えばスマートフォンなどは作っていません。日本が必要としているのは、例えばソニーのデジタルカメラで使用する半導体ですが、これらは27ナノ、28ナノ台と、二世代くらい前の半導体で足りる。これは世界のどこででも作れるものですが、それすら日本は海外に依存しているのが現状です。――「経済安全保障」の観点から台湾のTSMCを日本に誘致するというのは、どういう目的があるのですか。台湾有事の際にはその二世代遅れの半導体すら手に入らなくなるから、工場を誘致しておこうということですか?いや、日本で使う半導体は、台湾でなく他のところから買うこともできるんですよ。半導体というのは装置産業なので、いくらかけて設備投資するかで製品の性能が決まるところがあります。相場感で言えば、工場一つで1兆円。最先端のもので2兆円くらいでしょうか。そういう金額を投資し続けられるかが焦点になっていて、日本の半導体メーカーが没落していったのは、その投資に耐えられなくなったのが一因です。

今回、台湾から誘致するTSMCの工場も、最先端の半導体を製造するわけではないにもかかわらず、8000億円の設備投資が必要です。そのうち4000億円を国が補助金で出すのですが、果たしてそれだけの価値があるのかどうか。 TSMCからすれば、二世代遅れの20ナノ台の半導体は世界的な需要はあるものの、製造ラインを2ナノ、3ナノのものにシフトしつつあるため、生産が手薄になっています。TSMCにとって、ソニーなどは売り上げ全体のわずか5%程度の取引しかない相手ですから、「20ナノ台の半導体が欲しい」と言われても、それだけでは動かない。しかし「補助金を出す。工場も建てるから来てくれ」と言われれば、乗らない手はないですよね。TSMCも日本で製造した半導体を、世界にも売るつもりで来るのでしょう。

 

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