後半開始早々に勝ち越され、その後は守りを固める相手を崩せずにいた。それでも67分にMF山本理仁(シント=トロインデン)の右CKからDF木村誠二(鳥栖)が同点ゴールを奪ったが、以降もカタールの守備網に手を焼く。「狭いエリアでのボールスキルやイマジネーション、シュートも期待していますし、セットプレーも含めてですけど、そこは期待していました」(大岩監督)与えられたポジションは右サイドハーフ。FC東京や前所属の鹿島でも、トップ下やインサイドハーフを主戦場としており、慣れ親しんだポジションでの起用ではなかった。大岩ジャパンでも、2年前のドバイカップでは左サイドハーフでプレーしたが、今年3月の活動では試されていない。普通のサイドハーフとはやや役割を変え、右SBの関根大輝(柏)を押し出すような可変システムでインサイドにポジションを取る。もちろん相手がひとり少ない状況だからこそ成り立ったのかもしれないが、類まれなサッカーセンスと適応能力があるからこその芸当。あとはプレーしながらアジャストさせた。
最初は良いタイミングでボールを引き出せなかったが、延長前半以降は流動的なポジショニングで右サイドから内側に入ってチャンスに関与。カタールが守備に比重を置いたため、スペースはほとんどなかったが、狭いエリアでパスを受けて変化をつけていく。右サイドでリスタートすると、MF藤田譲瑠チマ(シント=トロインデン)から鋭い縦パスが送られる。ボールを受けた荒木はワンタッチで前を向き、FW細谷真大(柏)に鮮やかなスルーパスを通す。時間もスペースも限られたなかで相手の動きを無力化し、エースの決勝弾を見事にお膳立てした。「チマたちが何本か縦パスとかを入れてくれていたので、自分がピッチに立ってからも何本か来ると思っていた。ワンチャンスをモノにできるかどうかで、このゲームが変わると思っていたので、狙い通りでした」(荒木)終了間際にはFW内野航太郎(筑波大)にもゴールが生まれ、4−2で勝利を収めた日本。そのなかで、決定的な仕事を果たし、見事にゲームチェンジャーの役割を遂行した荒木。しかし、このカタール戦では、今まで味わったことのない重圧を感じていたという。どちらかと言えば、常に冷静で場に左右されるタイプではない。
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