前半から活動量を増やし、セカンドボールを回収。また、しなやかで無理の利く山本はショートコンビネーションに係わり、DF間へ割って行く動きやシュートを見せた。チームを攻守で引っ張っていたボランチは後半、得点力を発揮する。
0-1の後半21分、左SH増山温斗がゴールライン際まで切れ込んでマイナスのラストパス。これを「ボランチの松下君が下がっててくれたので、自分は行くだけでした。ボール来るかなと思って予測してたら、ちょうど来ました」と1タッチでゴールへ押し込んだ。前橋育英は前半、なかなか自分たちの特長を出せずに苦戦。さらに後半15分に先制を許し、逆境の展開になっていた。だが、「まだ2か月なんですけど、『やってきたことを出せば勝てる』って櫻井さんから言われてたので、それを出そうとしてやりました」という山本が同点ゴール。チームを勢いづけたMFは、勝ち越し点も決めた。 後半32分、右CKの流れから、MF松下歩夢の右クロスをゴールへ押し込んだ。GKの指先を越えてきたボールを頭でプッシュ。「あれもボール来るかなと思って予測して。ちょうどボールが来たので、あとは決めるだけでした」。殊勲の山本は右手を突き上げ、大興奮のチームメートの輪へ飛び込んだ。山本は「ずっと選手権見て、徳永涼選手の時の育英に憧れてて、入ろうと思って。徳永涼選手とか、優勝した時の田部井選手とかのようなボランチになりたいです」と意気込む。
前橋育英の櫻井勉コーチは、「長所としてはゴール前に行くことと、セカンドボールをしっかりとしてくれるところ」と評価し、強い世代にいるという「得点できるボランチ」に成長することを期待する。本人は課題だというキック精度の改善をし、「両足蹴れるようにしたい」。そして、得点力をより高め、“ボランチ王国”の前橋育英で欠かせない選手になる。
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