バー氏は、2021年11月の時点で、高金利が銀行に与えるリスクについて警報を発していた。しかし、SVBは対応を怠った。同日、FRBはスタッフ総動員で、SVBがFRBのディスカウント・ウインドー(割引貸し出しの窓口)から大量の緊急融資を受けるための担保を探した。その結果、FRB当局も、資金不足が解消されると判断した。結局、9〜10日の2日間で、預金流出額は1420億ドルに達したが、これは、SVBの預金総額1750億ドルの81%に相当する。本件では、FRBの金融機関へのストレステスト(健全性審査)が甘かったとの批判も続出している。
リーマン・ショックの反省からドッド・フランク法(金融規制改革法)が生まれ、資本規模が2500億ドル以上の大手銀行は1年に一度、1000億ドルから2500億ドルの資本規模であれば、2年に一度(偶数年)、ストレステストの実施が義務づけられた。SVBは2021年末時点で資本規模が1000億ドルに満たなかったため、22年のストレステストの対象にはならなかった。 さらに、ストレステストそのものにも重大な欠陥があった。FRBが重視する負荷項目は「国内総生産(GDP)成長率の低下」「商業用不動産への融資返済不履行」「失業率の上昇」だったのだ。いずれも、マクロ的に悪化せず問題はない項目ばかりで、ストレス(負荷)にはならなかった。
対して、実際に大きく悪化した「インフレ率」と「高金利」は重点項目に含まれていなかったようだ。特に、消費者物価指数(CPI)の伸び率については2025年まで2%以下という負荷条件が想定されていた。ここが決定的「欠陥」とされ、審査が「甘い」と批判されているのだ。豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
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