今回、CES 2022に出展されたフルスケール機は、会期中、日本のスタートアップが集まる『J-Startup/パビリオン(Eureka Park)』の会場に置かれた。この機材は、日本国内でこそイベント等で何度か公開されているが、海外での公開は初めてだ。同社の報告によると、会場では展示したSD-03に乗り込める体験会を実施。オミクロン株の感染拡大で当初見込みより来場者は少なくなったものの、希望者の列は絶えることがないほど大きな注目を浴びたという。
フルスケール機を前にした来場者からは「こんなに開発が進んでいたことを初めて知った」「自国でこれに乗れるのはいつ頃か」「デザインがカッコいい」等のコメントが多数寄せられたそうだ。同社としては予想以上の反応を得たと捉えており、今後も海外でのニーズ把握に務めていくことにしている。また、これに先だって同社は1月3日にマンダレベイホテルで開催された「CES Unveiled」にも出展。ここでは実寸の1/7モデルを出展したが、それでもブースを訪れる人は絶えなかったようだ。 現在、“空飛ぶクルマ”の開発は世界中で進んでおり、ベンチャーを含むと約300社近い企業が開発を進めていると言われる。しかし、有人飛行を実現した例はまだ数少ない。そんな中で同社は2020年8月、高さ2mまで機体を上昇させてエリア内を一周するるデモフライトを公開した。飛行時間はわずか4分間でしかなかったが、その間の飛行はきわめて安定しており、実現への期待が膨らむ内容だった。
今後、SkyDrive社では2025年に開催予定の「大阪・関西万博」でエアタクシーとして事業化を予定しており、SD-03はその際に準備される「SD-05」の試験機として開発された。同社は次のステップとして2人乗り飛行を目指し、100km/h、20~30分の航続時間を想定しているが、それがSD-05に該当する可能性は高い。 また、このスペックから推察すると、一足飛びに“空飛ぶクルマ”を移動手段としての乗り物というよりも、まずはアトラクション的なものから実現し、認知度をアップさせていく戦略が見える。脱炭素へのアプローチが世界的に急激に進む中、電動垂直離着陸機(eVTOL)へのニーズは極めて高い。会場での反応は極めて良かったことから、その意味でもSkyDrive社がCES 2022に出展した意義は極めて大きかったと言えるだろう。
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