そのパートナーとしてアーモン氏は、日本の自動車メーカーである本田技研工業、そして同じく日本のティア1部品メーカーであるアルプス・アルパインなどを挙げたほか、スウェーデンのボルボ・カーズ、フランスのルノー・グループなどと提携し、同社が提供するモバイル向けのSoCをベースにした「Snapdragon」ブランド製品の自動車産業への浸透を目指すと語った。米国カリフォルニア州サンディエゴに本社を置くQualcommは、元々は携帯電話やスマートフォン向けのモデムチップやSoCを提供するメーカーとして成長してきた半導体メーカーだ。同社が提供するスマートフォン向けSoCのSnapdragonは、スマートフォン市場でトップシェアを誇る製品で、日本で通信キャリアから販売されているAndroidスマートフォンのほとんどはSnapdragonを搭載している。
Qualcommの戦略はシンプルで、競争力のあるSoCをモバイル向けに開発し、開発した技術を元にIoT向け、自動車向け……と展開していくことで、開発した技術をさまざまなジャンルの製品に応用していくというものだ。実際、自動車向けのSnapdragonも、元々はスマートフォン向けとして開発されたSnapdragonをベースにしてカスタマイズしたモノになっている。 そうしたQualcommは、2021年に「Snapdragon Digital Chassis」という構想を明らかにした。この「Snapdragon Digital Chassis」は、自動車をコネクテッドにしてIT化を進めるにあたって必要な技術を、プラットフォームとして自動車メーカーやティア1の部品メーカーに提供するものだ。
現在の自動車ならティア1の部品メーカーが、ラジエータやエンジン、トランスミッションといった各部を作り、それを自動車メーカーがプラットフォームと呼ばれるシャシーに組み込んで自動車を設計していく。1つのプラットフォームをベースにして、複数の車種に派生していくという設計、開発の手法が一般的だ。