今年4月、ホロライブの新たな音楽プロジェクトとして立ち上がった「Blue Journey」。キラキラしたサウンドアプローチと明るくポジティブなメッセージで聴き手を笑顔に導いてきたこれまでの「hololive IDOL PROJECT」とは異なり、「Blue Journey」では誰しもの心の中に存在する不安や葛藤、迷いといった不の感情を掬い取り、優しく寄り添いながら音楽を通して浄化していくことが一つの大きなテーマとなっている。ホロライブにとっても大きなトライとなるその方向性は、9月6日にリリースされた1stアルバム「夜明けのうた」で鮮烈に提示された。そして、そのアルバムを携えて開催されたのがBlue Journey 1st Live「夜明けのうた」だ。
9月13日。ホロライブの新たな表現の形を目撃しようと、ライブ会場となった東京ガーデンシアターには期待に胸を膨らませたファンたちが詰めかけた。客電が落ちるとステージ正面のスクリーンには無数の光の粒が渦巻き、溢れ出す。その中から現れたアキ・ローゼンタールが静かに語り始めた。そこから大神ミオ、白銀ノエル、天音かなた、獅白ぼたん、博衣こよりが順番に言葉を繋ぐ。「信じなかったり、矛盾したり、言えなかったり、傷つけあったり、失くしてしまったり、気づかないふりをしたり。どうしてそんなことをするんだろう」この日のライブは朗読と歌を織り交ぜながら、一つの大きな物語を描いていくスタイルとなっていた。メンバーたちが感情を込めて刻んでいく言葉ひとつひとつが観る者の心を刺激していく。そこで語られるあらゆる感情が、自身の体験に重ね合わさっていく。だからこそ、そこにいたすべての人はこう思ったはずだ。「これから紡がれるのは“自分自身の物語”でもあるのだ」と。
痛いほどの共感を呼び起こし、ライブへの没入度を一気に高めた冒頭の朗読を経て、1曲目に披露されたのは湊あくあ、宝鐘マリン、角巻わためによる「僕は独りだ」。普段の活動とは違ったシリアスな表情を見せるパフォーマンスと、様々なものを失ってしまった後悔を嘆きつつ、“だから僕は独りだ”と切なくメッセージする歌声が強く光る。心の奥底に渦巻く感情を解き放つかのようなアッパーなサウンドが、主人公の救われない思いをさらに強く印象づけていたように思う。続く「君になりたかった」では、心の中に潜む劣等感と他者への羨望の狭間で揺れ動く感情をさくらみこ、宝鐘マリン、尾丸ポルカの3人が伝えていく。曲ごとに変化していくメンバー編成、その組み合わせによって各メンバーの新たなボーカリゼーションが引き出されているのがおもしろい。それぞれの相乗効果により、各自の持つ魅力が何倍にも膨れ上がっていく様に、客席からは大きなクラップが鳴り響いた。「Blue Journey 1st...
角巻わための最後の言葉を受け継ぐように、「ラブソングはいらない」のイントロが流れ出す。青春時代の葛藤に苛まれながらも、その先の未来に思いを馳せる意志を白上フブキ、兎田ぺこら、雪花ラミィが放っていく。“メロディーすらない歌を6弦でかき鳴らせ”の歌詞に合わせて3人でエアギターをかき鳴らしてみたり、アウトロではコブシを突き上げて会場を煽ってみたりと、凛とした強さを感じさせるパフォーマンスが印象に残った。ステージ上方から蔦の絡まったブランコに乗った猫又おかゆ、白銀ノエル、天音かなたが登場し、披露されたのは「astro」。ふんわりとポップなサビを持つ楽曲が3人の声色にマッチ、別れの先にある希望の光を感じさせてくれる。中盤からはブランコを降り、星空をバックにしなやかな振りを交えながら歌唱するパフォーマンスも素晴らしかった。スリリングなピアノのイントロで会場を一瞬で掌握したのは戌神ころね、兎田ぺこら、姫森ルーナ、博衣こよりによる「不純矛盾」。今回のライブでは唯一の4人曲だけに、くるくると入れ替わる個性的なボーカルが楽曲をカラフルに彩り、ユニゾンのふくよかさにも特筆すべきものがあった。サビで見せる息の
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