継続的な鍛錬が必要とされるバレエの世界。社会人として働いていた経験がある者がプロのカンパニーに入団する例は極めて珍しい。客室乗務員からプロのバレエダンサーへ。彼女のキャリアチェンジの経緯や“転身者”ならではの本音を聞いた。
2021年に公演された『白鳥の湖』ではポーランド王女の役でソロを踊るなど、入団後はさっそく活躍を見せた。新国立劇場バレエ団での彼女の肩書きは「アーティスト」。主役を演じる「プリンシパル」とは違い、1つの作品の中で複数の役を演じることが多いという。その後、2012年にはスイスで行われた若手ダンサーの登竜門『ローザンヌ国際バレエコンクール』に出場し、同年に欧州のハンガリーへ留学。順調なステップを歩んでいたが、異国の地で初めて大きな挫折を味わい、それを機にバレエの道を一度諦めた。当時のことを、次のように振り返る。 バレエに集中できる環境は整っていました。先生もみな素敵な方々で、色んなことを教えてくれました。でも一方で、自分自身はバレエダンサーとして生きていく「覚悟」が全然出来ていなかった。自分でそう感じているのにも関わらず、すでにプロを目指していたので後に引けず、海外のバレエ団のオーディションを沢山受けていました。「変わりたいけど変われない」「頑張りたいけど頑張れない」みたいな自分にも失望して、ハンガリーの学校卒業を機に「プロを目指すバレエはもう無理だな」と諦めました。留学した当時から「自分がどんな踊りがしたいか」をもっと意識して取り組んでいればよかった。年に一度ほどしかない発表会などパフォーマンスをする機会が決して多いとは言えない日本では、舞台に立てるコンクールは確かに大切な場ですが、どう取り組むかがとても大事。4歳から続けてきたバレエを一度諦めたのは20歳の時だった。
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