2030年まで、CO2削減で大きな割合を占める施策は、航空管制の高度化や地上走行時に片側エンジンのみでの走行、燃費効率を意識した飛行計画の策定などです。航空管制は、混雑する羽田や伊丹、福岡など、飛行前に経路・時間を最適化し、上空待機を減らすことで、CO2削減に役立ちます。この改善により、乗客もストレスなく目的地へ到着できるメリットを得られます。2030年以降はSAF活用を大きな柱として、CO2削減を進めます。SAFは、2030年時点で6.5%と削減割合は少ないように見えます。ただし、燃料となる原料収集、航空機搭載までのコスト低減など、現在の化石燃料と同等に使用できるよう環境整備が重要です。このため、2030年まではANAだけでなく、日本航空をはじめ、SAF製造に向けた幅広い連携を図ります。
2050年にはボーイング787型機など低燃費航空機の使用と、SAF活用により90%を実現します。この段階まで排出権取引制度の活用を終え、2050年時点で大気中のCO2を回収・吸収する技術「NETs」により、SAFで削減しきれないCO2の排出量を相殺して実質ゼロを目指します。ANAはこのトランジション戦略の前提に考慮されていない、電気や水素を使う航空機は、大幅に炭素削減が期待されることから、今後の技術革新に合わせ、組み込みたい考えです。しかしながら現状では、電気は2025年の大阪万博開催時に実現しても3〜4人乗り、水素についても現在の研究では数十人規模の乗客想定です。このため、200〜250人規模の機材開発の見込みが立った時点で、戦略の書き換えを進める方針です。
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