がマイナス金利政策の解除を柱に「異次元緩和」と呼ばれた異例の金融緩和策からの脱却を決めた。大企業の賃上げが歴史的な高水準となるなか、非常時対応だった枠組みを平時に近づけようとする判断は時宜を得たものだ。18〜19日の金融政策決定会合では金融機関から預かる資金の一部にマイナス0.1%の金利を課す仕組みの廃止を決めた。今後は翌日物の市場金利を0〜0.1%の幅で誘導する。植田和男総裁は記者会見で「賃金と物価の好循環の強まり」を受け、目標とする2%の物価上昇の定着について「実現していくことが見通せる状況に至った」と述べた。今年の春季労使交渉での賃上げ率が連合の第1回集計で5.28%と33年ぶりの水準となり「判断の大きな材料」にしたという。
黒田東彦前総裁のもと2013年に始まった異次元緩和は「2年で2%の物価上昇」を目標に未曽有の規模で国債を買い上げる非常時の対応だった。当初は円安や株高が景気を押し上げたが、目標は2年では果たせず、その後はマイナス金利やYCCへと変遷した。好循環の強まりを機に、異例の措置を終えるのは適切な判断だ。植田氏は「異次元の手段は必要なくなった」として、「短期金利を主たる政策手段とする普通の金融調節」に戻すと語った。簡素な枠組みになり、状況に応じた政策の調整が容易になる。国民や市場へのメッセージも明確になる。 緩和的な政策運営がすぐに終わるわけではない。植田氏は「当面、緩和的な金融環境が継続する」と指摘し、経済・物価情勢に応じて利上げの機を慎重に探る考えを示した。より丁寧な市場との対話や精緻な情勢判断を求めたい。YCCの撤廃後も当面は長期国債の潤沢な購入を続ける。長期金利の安定を重視する妥当な判断だが、国債発行残高の5割超を日銀が持つ異常事態は変わらない。市場や政府と対話を重ね、国債保有の削減や政府の財政規律の確保へ長期的な展望を練る必要がある。
今回の政策変更は「金利のある経済」の第一歩にすぎず、経済活動への直接の影響は小さい。ただし利上げがゆっくりと進めば、住宅ローンや企業向け貸出金利も上がり始めるだろう。家計も企業も新しい環境に備えていきたい。賃金と物価の好循環が続くには「物価を超える所得増」、すなわち実質賃金の上昇を定着させる必要がある。欠かせぬ労働生産性の向上は、人手不足のなかで潜在成長力を引き上げる道でもある。 物価も賃金も動かず、金利も超低位だった長年の状況は、生産性の低い企業の延命を許し、経済の変革を妨げてきた。この構図が変われば、果敢にリスクをとって収益を高められる企業が人材獲得や価格設定で優位に立つ。金利機能の復活によって、お金はそうした企業に有利な条件で集まる。
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