柔和な笑みと、謙虚な姿勢は変わらない。しかし、どこか自信が増した印象を受けた。古橋が“実績”を引っさげ、日本代表に帰ってきた。「やれることをやり続けたら、また呼んでもらえると思っていた。うまく思いをピッチで表現できれば」。始動初日のゲーム形式の練習では主力の伊東、三笘と３トップを形成。パスを引き出す動きを繰り返し、精力的に走り回った。その特異なプレースタイルは、代表で輝けなかった。ポストプレーにほとんど関与せず、背後への抜け出しを狙い続けるスタイルは、チームとの相性が悪く、パスが来ない場面が多かった。当時はポストプレーを得意とするＦＷ大迫勇也（神戸）が１トップに君臨。“大迫仕様”の戦法が採用されていたこともあった。ＦＷにとって必要不可欠な、味方からの信頼が足りていなかったとも言える。
しかし、今回は信頼に足りる実績を携えての帰還だ。セルティックで公式戦３４得点を挙げ、日本人初の欧州主要リーグ得点王を獲得。国内３冠に貢献し、リーグ、選手協会、記者協会、クラブが選出した４つのＭＶＰを独占した。「代表に集中したい」と明言を避けたが、今夏の去就に際し、イングランド・プレミアリーグからも熱視線を浴びている。 “カタール組”の前田、浅野、上田とポジションを争う。現状は４番手かもしれないが、センターＦＷはレギュラー不在のポジションでもある。「みんなのいいところと僕のいいところを出せるように話していきたい。自分らしいプレーで引っ張っていきたい」。出し手に合わせるのではなく、出し手が合わせるプレーが発揮できれば―。“９度目の正直”で、その実力を証明する。（岡島 智哉）
◆古橋 亨梧（ふるはし・きょうご）１９９５年１月２０日、奈良・生駒市生まれ。２８歳。桜ケ丘ＦＣ、アスペガス生駒ＦＣ、大阪・興国高、中大を経て２０１７年にＪ２岐阜に加入。翌年８月に神戸、２１年７月にセルティックに移籍。２２―２３年に２７得点でスコットランドリーグ得点王。１９年に日本代表に初選出。水泳も得意で、小学生時代に全国大会出場。１７０センチ、６３キロ。
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