Ｗ杯開幕約半年を前に、指揮官の表情は明るかった。ジョセフＨＣは「６月からスタートできることに、非常にワクワクした気持ちでいっぱいだ」と笑顔。リーグワン終了後、日本代表は６月９日から首都圏での合宿で本格始動する。
史上初めて８強入りした１９年日本大会以降、強化の道のりは困難を極めた。１６年から代表勢を中心に編成されたサンウルブズで参戦していたスーパーラグビーの活動が２０年限りで終了。コロナ禍が拍車をかけ、海外チームとの実戦機会が激減した。４年前を知る指揮官は「前回はハードな試合をしていたからこそフィジカル、メンタルでいい準備ができた。そこが今年との大きな違い」と明かす。初のＷ杯４強へ、ジョセフＨＣは「セットプレー」「空中戦」「守備」の３つの強化点を掲げた。昨秋の欧州遠征のイングランド戦では３連続でスクラムの反則を取られるなど「チームとしても自信を失った」という。体格で劣る日本はハイボールを用いた相手戦術への対処も想定しなければならない。そして「一番大事なところは守り」と指揮官。個々のタックルを磨くほか、１次リーグで同組のアルゼンチンも屈強な肉体が武器で対抗するＦＷ陣には肉体強化の指令も出している。
昨年はコロナ感染者が出た場合を想定し、候補選手を大量招集して代表を編成したが、今夏は人数を絞り込む方針。「みんなにチャンスがある」とリーグワンを注視しつつ、各チームを巡回し選手と対話を積み重ね、選考にあたる。ジョセフＨＣは「選手がＷ杯でピークを迎えられるようにしていかないといけない。１試合１試合を確実にして、前を見ていきたい」と青写真を描いた。（大谷 翔太） 〇…日本ラグビー協会の土田雅人会長（６０）は会見後の取材で、日本代表のジョセフＨＣをＷ杯後も続投させる考えを示した。他の候補者もピックアップする考えを示しつつ、ジョセフＨＣを「第１候補。（本人に２７年の）Ｗ杯も検討していただきたい、と話している」と明かした。１６年に就任したジョセフＨＣとの契約は今秋のフランス大会後までとなっているが、母国のニュージーランド代表の後任監督候補にも挙がっている。
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