2022年度沖縄子ども調査「高校生調査報告書」が公表された。調査は3回目で、今回は県内公立高校59校の2年生とその保護者が対象となった。前回の19年度調査と比較して困窮層の割合は5.9ポイント増、26.3%となった。特に低所得層ほど世帯収入が減少している。一般層(4人世帯の年収381万円以上)ではコロナ禍で収入が減った世帯は約27%であるのに対し、低所得層Ⅰ(同254万円未満)では約58%、低所得層Ⅱ(同254万~381万円未満)では約44%が収入が減ったと答えている。「子どもの貧困」が強く意識されるようになった2015年以降、「切れ目のない支援」の必要性が叫ばれている。乳幼児時、小中学生期、高校生期それぞれの世代に応じて支援し、進路決定や就職につなげていくことが求められている。今回の調査結果を踏まえ「切れ目のない支援」を強化しなければならない。
同時に求められるのは「制限のない支援」である。非課税世帯に該当すると低所得世帯向けの支援を受けられるが、所得制限を超えると支援の対象外となり、逆に困窮度が増す可能性があるのだ。所得制限の壁を取り払った支援制度が必要になっている。 今回の調査ではヤングケアラーの問題と困窮度の関係を分析している。低所得層の生徒ほど、きょうだいの世話や家族の介護・看病をする時間が長くなる傾向にある。毎日1時間以上、家族のケアをしている生徒は一般層では約14%であるのに対し、低所得層Ⅰでは約23%に達している。 懸念されるのは毎日1時間以上家族のケアを行う生徒は、抑うつ傾向が強い点だ。調査ではヤングケアラーと貧困が重なると児童・生徒の健やかな成長と自立が大きく阻害される可能性があることを指摘している。困窮支援と合わせてヤングケアラーに特化した支援制度が必要だ。
今調査の自由筆記で「やりたいと思ったことがお金の問題でできなくてつらい」と窮状を訴える生徒がいた。政治、経済、行政の各分野でこの叫びを受け止めたい。「誰一人取り残さない」という理念を実のあるものにしなければならない。
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