<毎日農業記録賞×聞く>フードロス減へ消費者教育を 東京農業大教授・佐藤みずほさん

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フードロスへの問題意識から、システムデザインの観点で「農と食」に向き合う研究者がいる。東京農業大国際食料情報学部教授の佐藤みずほさんを訪ねた。門外漢の人間にはドライな印象のある領域だが、語られる言葉からは、生産者と消費者との結び目を探る温かみが伝わった。【聞き手・三枝泰一】◆食品会社時代の実務経験です。天然甘味料のメーカーで商品開発を担当していました。開発する商品は四季折々変わります。例えば夏の時期ならば「レモン」風味、秋になれば「クリ」「カボチャ」「サツマイモ」と。売れ残りも出るし、期限が切れると廃棄されてしまう。そしてまた、次を考える。業界ではそれが当たり前でした。とにかくスピードが求められる。その一方で、「サステナビリティー(持続可能性)」という考え方は、まだそれほど業界には浸透していませんでした。「これでいいのか」と、疑問がわいたわけです。◆食を巡る社会をシステムで捉えました。さまざまな要素の絡み合いで機能するのがシステムです。一つの要素の不具合がシステム全体に不整合を及ぼします。それを特定すれば改善につながるし、要素の組み合わせを変えれば新しい仕組みをつくり出すこともできる。

また、そうした消費者への教育の手段としてシリアスゲームも有効だと考えています。社会問題の解決を目的にするゲームのことで、野菜や牛乳のサプライチェーンをベースにした「Veggie Mart Game」や「Milky Chain Game」を開発し、有効性を示してきました。◆CSA(地域支援型農業)はその一つでしょう。消費者が農家と直接契約を結び、あらかじめ決めた価格で農産物を定期購入するシステムです。そこにいるのは、買って、食べるだけの消費者ではありません。農業と直接つながる地域住民として、自己を捉えます。農業には自然災害や需給のリスクが伴うことを理解し、そのリスクを農家と共有することで、生産側の一員としての意識を持つ。農作業に参加する機会もあります。顔の見える関係性から、食品の安全性が得られます。子どもたちを招いた農業体験会の開催など、地域社会への貢献も期待できます。

◆極端な話をすれば、毎日、毎食、決まった数のカップラーメンだけを食べるようなシステムにすれば、フードロスの削減につながります。目標が突出した、実際にはありえない話ですが、この例えでは、食を巡る他の価値がそぎ落とされています。システムを組み立てる際に重要なのは、一方向にフォーカスし過ぎることを防ぐアクター間のコミュニケーションです。 これは生産者同士にも言えることで、例えば、旧来の慣行農業を続けている高齢農家と、6次産業化を実現しているような農家が混在しているような地域では、営農形態の違いから両者のコミュニケーションが断絶しているケースが見られます。このように相互扶助といった価値の共有がなければ、システムに不整合が生じます。◆農業系の大学ということと、また、飲食店でのアルバイト経験ということもあって、フードロスに対する問題意識は高いですね。必要なのは10年後、20年後の社会を想像し、自分をアクターにして、そのシナリオを描いていくことだと思います。サステナビリティーは、一人一人のその取り組みから生まれます。1976年、大阪府出身。2000年、女子栄養大卒。02年、女子栄養大大学院博士前期課程修了。14年、慶応大大学院後期博士課程修了。博士(システムデザイン・マネジメント学)。株式会社クインビーガーデン・ソリューション本部主任研究員、東京農業大国際食料情報学部食料環境経済学科准教授を経て、23年から現職。

2024年(第52回)毎日農業記録賞の作文を募集しています。9月4日締め切り。詳細はホームページ(https://www.mainichi.co.jp/event/aw/mainou/guide.html)

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