19年プレーバック。広島は1年前の19年4月17日、熊本での巨人戦で劇的な逆転勝利を手にした。8回に2点を勝ち越されながら、9回に3点を奪い返した。決勝打の石原慶幸捕手(40)は冷静にチームを俯瞰(ふかん)し、最後まで望みを捨てていなかった。開幕から続いた連続カード負け越しを5で止め、同28日までの8連勝につなげた。潮目を変えたのは、広島伝統の「フォア・ザ・チーム」だった。火の国で、コイがどん底から昇った。同点の8回裏、前年までチームメートの巨人丸の勝ち越し2ランで6カード連続負け越しに追い詰められた。最終盤であまりにも痛い2点ビハインド。だが、7回からマスクをかぶった石原慶は、戻った三塁側ベンチで希望の光を見た。迎えた9回、このシーズン初めてスタメンから外れた野間が出塁すると、無死一、三塁から内野ゴロの間に1点を返した。田中広が倒れ、2死三塁で打席には菊池涼。次打者の石原慶はネクストサークルにいなかった。1点ビハインドのままなら代打小窪。シーズン打率0割だった石原慶が打席に立つ条件は、同点か勝ち越した場合のみだった。菊池涼の適時二塁打で追いつき、ベンチから打席に向かった石原慶は巨人ク
黒田博樹氏、新井貴浩氏が新たに築いた広島の伝統は今のチームにも残る。「自分のためではなく、チームのためにやっていかないと、いい結果に結びつかないチームだとみんな分かっている」。昨年フォア・ザ・チームで上昇した広島の伝統は、今も残る。どんな苦境も、一丸となって立ち向かう。【前原淳】◆チームメモ 広島は前年のチームからFAで丸、引退の新井が抜けた。開幕から5カード連続負け越しで、巨人との南九州2連戦初戦も敗れ、4勝12敗。首位ヤクルトに7ゲーム差の最下位にいた。 ◆試合メモ 19年4月17日巨人戦(藤崎台)。1回に巨人亀井の2点二塁打で先制。広島は3回に菊池涼の2号ソロで1点を返すと、6回には代打西川の適時三塁打で同点とした。7回から勝ちパターンを投入した広島だったが、セットアッパーのフランスアが8回1死一塁から丸に右翼席へ勝ち越し2ランを被弾。それでも9回に巨人の抑えだったクックを攻めて3点を奪った。
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