ボーイング737MAXの初号機がデビューしたのは2015年12月。世界に冠たる名門航空機製造会社ボーイングの、夢と期待(と莫大な利益)を懸けた最新鋭機だ。それは最先端の技術を詰め込み、需要の高まる小型機市場で「最高の燃費効率と信頼性、そして最高の乗り心地」を提供するはずだった。
しかし、その夢は立て続けに起きた2つの悲劇によってついえた。MCAS(操縦特性補助システム)という飛行制御ソフトの不備で機首が上がりすぎ、しかも操縦士は自動制御を解除できず、手動で操縦できなかった。18年10月28日にはライオン航空610便が、翌年3月10日にはエチオピア航空302便が墜落し、両機合わせて346人の乗客乗員が死亡した。前者は離陸から約12分後、後者は約7分後の出来事だった。以下の抜粋では、エチオピア航空302便の犠牲者追悼行事に当たり、遺族に寄り添うどころか自社の利益を優先した巨大企業の知られざる姿を描いた部分を紹介する。 世界が新型コロナウイルスのパンデミックにのみ込まれる直前の2020年初頭、ボーイングの関係者は3月10日(エチオピア航空302便墜落事故から1年の日)を控えて緊張していた。737MAXの問題が蒸し返され、企業イメージが傷つく心配があったからだ。1月下旬、ボーイングの当時の政府対応部門トップ、ティム・キーティングとその補佐ジェニファー・ロウはエチオピア航空本社で遺族との協議に臨んだ。そこはアディスアベバ空港に隣接する官庁のような地味なオフィスビルだが、集まった会議室だけは明るい海の色の壁だった。カトリック系の米スクラントン大学出身のキーティングは、心の広い聖職者のような口調で話し始めた。わが社は遺族にとって有意義な行事となるよう、何でもするつもりだ。ただし、守ってほしい基本的なルールがいくつかある......
大企業は常に自分たちの利益にならないことには背を向けるだけでなく、不当な妨害もするといういつもの行動原則がこの件でも実行された、ということでしょうね!
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