【糸満】ブラジル・サンパウロ出身で県系3世のカイオ・ミヤシロさん(33)=東京都=が4日、祖父・宮城富次郎さんの古里の糸満市を訪れ、富次郎さんのまたいとこの息子・宮城英雄さん(75)=糸満市=と対面を果たした。ルーツ探しで初めて来県し、屋号が手掛かりとなってトントン拍子に親戚と対面したカイオさんは「まさか会えるとは思わなかった。ブラジルの家族も喜ぶだろう」と晴れやかな笑みをこぼした。カイオさんは昨夏から、東京でITの仕事をしている。富次郎さんが他界した94年に4歳だったカイオさんは、富次郎さんの病床の姿しか覚えていない。しかし、気になっていたルーツをたどろうと来県し、3日に那覇市歴史博物館を訪ねた。学芸員に家系図を見せ、ブラジルでよく耳にした言葉「宇那志」を伝えたところ、学芸員が「糸満の屋号では」と糸満市の郷土史家・金城善さん(71)に問い合わせ、その日のうちに宮城英雄さんにたどり着いた。
英雄さんは、十数年前から「宇那志」門中の家系図・家譜づくりを手がける。82年に帰郷した富次郎さんと顔を合わせたことがあるが、詳しい話は聞けていなかったという。カイオさんと対面し「富次郎さんの子がブラジルにいることは分かっていたが、人数や名前はブラジル移民の情報がなく調査が行き詰まっていた。孫が会いに来てくれるとは、何といいタイミングだ。待ちかんてぃしていた(待ち遠しかった)」と喜んだ。 カイオさんも「ブラジルでイトマンという言葉をあちこちで聞いたが、町の名とは知らなかった。こんなにすぐ親戚に会えるとは、運が良かった」と語った。英雄さんは、カイオさんに富次郎さんのいとこらはハワイに移民したことなどを説明し、富次郎さんの祖父らの墓に案内した。カイオさんは今後、ブラジルの家族から情報を集めて再び来県し、家譜づくりに協力する考えだ。英雄さんは「できる限り系図をたどり、子孫に残したい」と語った。
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