今回は、「ハイエンド・メインユニット」について考えていく。まずは、AV一体型ナビの中での“ハイエンドモデル”と呼ぶべき機種に焦点を当ててみる。代表的な存在となっているのは以下の2ラインだ。1つがカロッツェリアの『サイバーナビXシリーズ』で、もう1つが三菱電機の『ダイヤトーンサウンドナビ』だ。ゆえに、価格もそれ以外のモデルと比べて高価だ。まず『サイバーナビXシリーズ』の方は、8V型と7V型の2機種があり、7V型の『AVIC-CZ902XSlll』は24万8000円(税抜)で、8V型の『AVIC-CL902XSlll』は27万8000円(税抜)だ。そして三菱電機の『ダイヤトーンサウンドナビ』は、7V型モデルの『NR-MZ200PREMI-2』が24万円(税抜)で、8V型の『NR-MZ300PREMI-4』が26万8000円(税抜)だ。では、これらが“ハイエンド”たり得ている理由の詳細を説明していこう。まずは「音響パーツ&技術に贅が尽くされていること」について検証していく。
ちなみにカーオーディオユニットは総じて、使用パーツにコストをかければかけるほど音質性能が向上していく。しかし、通常のAV一体型ナビは価格競争を勝ち抜く必要があり、音響パーツに潤沢にコストを注げない。しかし上で挙げたこれらではボーダーラインが上げられていて、一般機では使用が見送られるようなパーツも採用されている。そして凝った回路も投入されている。価格上昇分は、そのまま音のためのパーツ&技術代だと思って間違いない。 かくして、これら「ハイエンド機」は素の音質性能が高い。つまり、メディアから音楽信号を読み取る精度が高く、そして内蔵パワーアンプで音楽信号を増幅する際にも信号はピュアなまま保たれる。なので、例えばスピーカーが純正のままであっても、そしてサウンドチューニング機能を駆使する前の段階でも、音が良いことを確認できる。続いては、「サウンドチューニング機能が優秀であること」の中身を見ていこう。まずこれらは、「クロスオーバー機能」が優秀だ。「クロスオーバー機能」とは、音楽信号を帯域分割する機能だ。ちなみに通常のAV一体型ナビの中にも「クロスオーバー機能」が搭載されている機種があるが、それらはフロントスピーカーとサブウーファー間において運用するためのものとなっている。しかし「ハイエンド機」では、フロントスピーカーのツイーターとミッドウーファー間にも「クロスオーバー」をかけられる。
なので「ハイエンド機」では、左右のツイーター用と左右のミッドウーファー用の計4系統の音楽信号を個別に出力できる。結果、リアスピーカーは鳴らせなくなるが、そのかわり4ch出力のすべてをフロントスピーカーのために使えるので、よりトルクフルにフロントスピーカーの各機を鳴らせるようになる。 さらには、その他のサウンドチューニングもより緻密に行える。特に違いが出るのは「タイムアライメント」という機能の運用時だ。「タイムアライメント」とは、スピーカーの発音タイミングを遅らせられる機能だ。クルマの中ではリスニングポジションが左右のどちらかに片寄るので、ステレオイメージを感じ取るのが難しい。しかし「タイムアライメント」機能が搭載されていれば近くにあるスピーカーの発音タイミングを遅らせられるので、あたかも左右のスピーカーから等距離の場所にいるかのような状況を作り出せる。
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