2023年に寺山修司は没後40周年を迎えた。本作の物語は、寺山が亡くなる前夜から始まる。寺山が47歳で死を迎えるその瞬間何を思ったのか。自身の死をも劇化し人々に何かを残そうとした寺山。まだ残したい言葉がある、胸躍るようなスペクタクルが作りたい、人生という物語を完結させたくない、死を目前にしても、作品を創ることへの熱い思いは消えることはなかった。
寺山の前に「死」という登場人物が現れ、「死」と寺山の間で取引が交わされる。「日が昇るまでに、私(死)を感動させられる作品を作る猶予をあげよう」。寺山の残された命はいかに。最後に作りたい作品は完成するのか。「死」を感動させるため、また寺山自身も満足するまで、寺山最後の作品を命がけで作ろうとする個性あふれる劇団員たちと共に作り上げた作品とは。 演出には、ウエストエンド、ブロードウェイ、日本とさまざまな国で活躍してきたデヴィッド・ルヴォーを迎える。主演は、寺山役初挑戦となる香取が決定した。2人の初顔合わせに期待が高まる。また共演者には、成河、伊礼彼方、村川絵梨、平間壮一、凪七瑠海(宝塚歌劇団)など、さまざまな舞台で活躍する素晴らしい役者がそろった。
そしてこの斬新な切り口の物語を新進気鋭の劇作家・池田亮氏が書き下ろした。「あしたのジョー」のほか、寺山による作詞の楽曲を数多く交えて、生演奏でオリジナル音楽劇として届ける。また豪華出演者が担う寺山劇団員によるパフォーマンス、寺山の「いたずら心」「遊び心」も見え隠れする本は、この作品の見所の一つとなっている。「どんな鳥だって想像力より高く飛ぶことはできないだろう」- 寺山修司 この作品は、寺山を「再現」することが目的ではありません。それは誰であれ、不可能な事だと思います。イギリスの演出家なら尚のこと、無理でしょう。寺山修司は社会的、または身体的な「のけ者たち」を作品の中心に据えていました。そんな彼は、今の世界をどう思うだろうか?彼の眩しいほどの想像力の灯火は、嵐のような現代において、どれほど奇妙で、滑稽で、とんでもない美しさを我々に見せてくれるのだろうか?このプロジェクトが提案された時、自分にはやらないという選択肢はありませんでした。
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