岸田文雄首相は18日の衆院本会議で、安倍晋三首相(当時)以来9年ぶりの国賓待遇での訪米について報告した。「日米両国が深い信頼と重層的な友好関係で結ばれたグローバルなパートナーとなっていると確認した」と強調。米軍と自衛隊の相互運用性強化など安全保障面での協力拡大などをアピールした。野党からは「米軍の事実上の指揮統制のもとで自衛隊が参戦する道を開くことになる」(共産党の志位和夫議長)などと批判の声も上がった。
「世界が歴史的にも大きな転換点を迎える中で、日米がグローバルなパートナーとしていかなる未来を次世代に残そうとするのか。米国国民や世界にしっかりと伝えることができた」。首相は、日米首脳会談などへの手応えを隠さなかった。 訪米の成果については「大きく五つあった」として、安保・防衛面での日米間の協力のほか、日米比首脳会談の実現、経済や宇宙分野での協力推進などを列挙。日米共同声明で、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることなどで「日米同盟の抑止力強化について改めて強い意志が示されたことは非常に意義がある」と強調した。これに対して、立憲民主党の源馬謙太郎氏は「日米関係は安定して強固だと確認できたことは評価すべきだ」としながらも、米軍と自衛隊との連携強化の内容などを追及。首相が米連邦議会での演説で「日本は米国と共にある」などと語ったことを取り上げ、「武力の行使など軍事的手段も辞さない覚悟で責任を担うのか」と迫った。
首相が米連邦議会での演説で「日本の国会ではこれほどすてきな拍手を受けることはない」と発言したことについても、「国会で拍手されない理由は、自民党の裏金問題をはじめ多くの問題に真摯(しんし)に向き合わないご自身にある」と厳しく批判した。【樋口淳也】
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