出生率の低下が続いている韓国で男性の育児休業取得率が増加している。2002年には78人で全育児休業取得者の2.1%に過ぎなかった男性の割合が、2020年には27,423人で24.5%まで上昇した。なぜ、多くの男性が育児休業を取得することができるようになったのだろうか。韓国で男性の育児休業取得者が増えた理由としては、「パパ育児休業ボーナス制度」の施行が挙げられる。女性の労働市場参加の増加や育児に対する男性の意識変化等の要因もあるが、これが最も大きな要因である。
「パパ育児休業ボーナス制度」は、男性の育児休業取得を奨励し、少子化問題を改善するために2014年10月に導入された。同制度は、同じ子どもを対象に2回目に育児休業を取得する親(90%は男性)に、最初の3カ月間は育児休業給付金として通常賃金の100%を支給する制度だ。また「パパ育児休業ボーナス制度」の支給上限額は1カ月250 万ウォンに設定されており、それは1回目に育児休業を取得する際に支給される育児休業給付金の上限額(1カ月150 万ウォン)より高い。 このように、育児休業を取得しても高い水準の育児休業給付金が支給され、ある程度の所得が保障されるので、中小企業で働いている子育て男性労働者を中心に「パパ育児休業ボーナス制度」を利用して育児休業を取得した人が増加したと考えられる。
実際、2020年における従業員数30人以上100人未満企業の育児休業取得者数は14,370人(男女合計)で、2019年と比べて13.1%も増加し、最も高い増加率を見せた(従業員数30人以上100人未満企業の対前年比増加率は8.5%、従業員数300人以上企業の対前年比増加率は3.5%)。日本では現在、男性の育児休業取得促進のための育児・介護休業法等の改正案が国会にて審議されている。厚生労働省の「令和元年度雇用均等基本調査」(事業所調査)によると、2019年度の男性の育児休業取得率は7.48%に止まり、女性の83.0%と大きな差を見せている。政府は男性の育児休業取得率を2025年までに30%に引き上げるという目標を掲げている。もしかすると、政府の目標達成に韓国の「パパ育児休業ボーナス制度」が参考になるかも知れない。