阪神・近本光司外野手(29)が27日のヤクルト戦(甲子園)で、1―2の5回1死二塁から右翼席へ逆転2ランを放った。「ゴールデンウイーク こどもまつり」として開催された2日目。6日同戦(神宮)以来17試合ぶりの決勝3号で、本塁打を放てば昨季から6連勝の“不敗神話”を継続させた。4月中の3本塁打はルーキーイヤーの19年以来という切り込み隊長の一撃で、2年続けて3、4月の勝ち越しも決定。ガッチリ首位を守り、貯金4からさらなる上積みを期すGWへ突入する。
屋根より高い近本の放物線がおもしろそうに宙を舞い、歓喜に沸く右翼席へと届いた。日本全国の各地でなびき始めた鯉のぼり。待ちに待った大型連休を利用して甲子園に集まった子どもたちの前で、カッコいい一振りで試合を決めた。1点劣勢の5回1死二塁から、サイスニードの直球をガツン。身長1メートル71。プロの世界では小柄な体格の男が夢のアーチを披露した。右翼席から声をからす、ある少年に届けたホームランでもあった。毎オフに自主トレを行う鹿児島・沖永良部島で交流を持つ傳愛樹(でん・あいき)さん(7)がこの日、一人で関西へと降り立ち、共通の知人女性と聖地へやってきた。超満員の球場に胸を躍らせ「近本のさっぱり牛カルビ丼」をほお張っていると、大歓声に後押しされた白球が目の前ではずんだ。勝利を呼ぶ鮮やかな弾道に愛樹さんもビックリ。「ホームランを打ってかっこよかった」という言葉は、聖地を埋めた虎キッズの感激を代弁している。切り込み隊長は呼応する。「甲子園のヤクルト戦」に限れば、打線がつながらない試合が続いていた。試合前時点で昨季の全9試合、前日26日と10試合連続2得点以下(4勝5敗1分け)。リードオフマンの一撃は
近本が甲子園で本塁打を放つのは、昨年4月27日の巨人戦以来、ちょうど1年ぶり。「この時期は(左打者に不利とされる)浜風も強くない」と自身は分析する。年に1度のレアな“聖地弾”がゴールデンウイークに重なるのも宿命なのか――。「結果的に子どもの前で打ててよかった」。お立ち台から目にした少年少女の満開の笑顔。確かなパワーに変え、こどもの日と同じ数字を背負う背番号5はまた歩き出す。(八木 勇磨)
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