阪神・高橋遥人投手(28)が17日、ウエスタン・オリックス戦(鳴尾浜)で、21年11月6日のCSファーストS・巨人戦以来、893日ぶりの実戦登板を果たした。先発して1回無失点で、最速147キロを計測。22年の左肘のトミー・ジョン手術、23年の左肩関節鏡視下クリーニング術などを経ての復帰に「感謝」を口にした。1軍での完全復活へ大きな一歩を踏み出した。
やっと、やっと帰ってきた-。高橋がまっさらなマウンドに向かうと、客席の視線が一気に集まった。「緊張はめちゃくちゃしたっす。前日とか夜とか。今日一日、結構そわそわしていた」と話したように緊張の面持ちのまま試合が始まった。 初回、先頭の杉沢に初球から146キロ直球を投じて投直に打ち取ると、歓声と拍手が起こった。「捉えられたけど、アウトになって少し緊張がほぐれたかな」。続く山足の3球目にはこの日最速となる147キロを計測した。その後は右前打を許したが、横山聖には粘り勝ちして8球目のツーシームで空振り三振。最後はトーマスを145キロ直球で遊ゴロに仕留めた。最後の実戦は21年11月6日のCSファーストS・巨人戦。22年4月の「左肘内側側副靱帯再建術」、昨年6月の「左尺骨短縮術」および「左肩関節鏡視下クリーニング術」などを経て、苦しいリハビリも乗り越えてきた。その間には家族、球団関係者、ファンらから多くの支えがあった。「いろんな人に見に来てもらって、すごい感謝。ずっと投げられない中でも応援してくださっている人の声とかやっぱり聞こえてたんで。またマウンドで投げるところを見せられてよかった」。節目の登板を終えると、感謝の言葉が口をついて出た。
チームメートからの後押しも大きかった。「僕が投げるのはすごい珍しいと思う。入団してから一回も見たことない人もいると思うんで」と笑顔。さらに「リハビリでトレーナーさんとか医学療法士の方にお世話になってるんで。すごい感謝している」と周囲への思いを明かした。 開門前には入場門にファンが列をつくり、高橋のタオルや背番号29のユニホームを着た人が多く詰めかけた。左腕は試合前は声援に丁寧に応え、グラウンドの移動の間にはサインに応じる姿も。ただ、本当の恩返しはまだ先だ。1軍での完全復活へ向けて歩みを進めていく。
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