4つ目のメダルとなる銀メダルを手にしても鈴木は淡々としていた。「ベストタイムではないので満足ではない」。悔しさをにじませるあたりに高い意識が表れているが、「メダルを取れたうれしさの方が大きいかな」と少しだけ感慨に浸った。200メートルは「自分のエネルギーをどう分配して使い切るか頭を使う。考えがいがあって面白い」という。予選では余力を残すため、残り50メートルで普段の左呼吸から右呼吸に変えた。先天性四肢欠損で右腕が肘先までしかないため、「左腕を伸ばしている方が上体(の形)をキープできて呼吸しやすい」から。残された部分を駆使する理詰めの泳ぎだ。
決勝は優勝候補のダダオン(イスラエル)についていく狙いで前半からエンジン全開。だが、100メートルの折り返しで引き離されていることを確認すると「気にせず自分のペースで」。2位を死守することに頭を切り替え、粘り強く泳ぎ抜いた。100メートル自由形で金、50メートル平泳ぎと150メートル個人メドレーで銅を取っている鈴木にとって、今大会初の銀メダルとなり、3色がそろった。自分のパフォーマンスにどんなメッセージを込めるか、とパラアスリートはよく問われる。だが、鈴木は「特別にメッセージを込めるつもりはない。自由に受け取ってもらえればいい」と〝障害と戦う懸命な姿〟という美談にされることを嫌う。「障害者スポーツも健常者のような(普通の)スポーツとして盛り上がってもらいたい」。障害者ではなく、一アスリートとして扱われることを望むからだ。
競泳日本チームの主将に選ばれ、「目指す場所はみんな一緒。道に迷っている選手がいたらナビゲートできるキャプテンになれたらいい」と話した。アスリートとして気高い誇りを持ち続け、34歳にして自身最多のパラ1大会で4つのメダルを取った姿は、後輩たちの道しるべになっているはずだ。
日本 最新ニュース, 日本 見出し
Similar News:他のニュース ソースから収集した、これに似たニュース記事を読むこともできます。
ソース: 読売新聞オンライン - 🏆 19. / 63 続きを読む »