【ソウル=桜井紀雄】9日に建国75年の記念日を迎えた北朝鮮は、ロシアとの軍事協力を急速に深めている。後ろ盾の中露両国の首脳はともに北朝鮮との友好関係を強調するが、中朝と露朝関係では温度差もうかがえる。新型コロナウイルス感染症対応で外交活動を控えてきた金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記がコロナ禍後最初の外遊先にロシアを選ぶのか注目される。習近平国家主席が北朝鮮建国70年の2018年に共産党序列3位だった栗戦書氏を派遣したのと比べ、劉氏は格が下がる。習政権は北朝鮮に核実験の自制を求めているとされ、核・ミサイル開発に傾注する金政権に一定の距離を置いた形だ。ロシアが高官派遣を見送ったのは、金氏の訪露が近いからだとの見方が強い。プーチン大統領は祝電で、ロシアの前身のソ連が75年前に北朝鮮を独立国家と「真っ先に認定した」と強調。「全ての方面で連携を計画的に拡大していく」とし、それは「両国人民の利益に全面的に合致し、朝鮮半島と北東アジアの安全や安定の保障に寄与する」と踏み込んで言及した。
金氏は7月、朝鮮戦争(1950〜53年)休戦協定締結70年に合わせて訪朝したショイグ露国防相を厚遇。新型兵器を紹介し軍事協力について協議した。ウクライナへの侵略戦争の長期化でプーチン政権は北朝鮮からの砲弾などの武器供給を死活的に必要としている。 北朝鮮は5月と8月に国防の最優先計画に掲げた軍事偵察衛星の打ち上げに失敗。最近、「戦術核攻撃潜水艦」の進水を発表したものの、重視する原子力潜水艦の開発は進んでいない。金氏が軍事協力の深化によりロシアからの技術提供を狙っているのは明らかだ。
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