1日阪神戦の4回、佐藤輝の三飛を捕球した堂林は中村祐にボールを渡す
打者の佐藤輝がマウンド付近に飛球を打ち上げ、三塁手の広島堂林が捕球してアウトを取った。堂林がマウンド上で投手の中村祐にボールを手渡し、中村祐はマウンドからホーム方向を見ながらボールをこねる。次の瞬間、一塁走者サンズが無人の二塁へ走りだした。異変に気づいた中村祐はセカンドへ投げようとするも、時すでに遅し。サンズが二塁を陥れた。記録は野手選択(野選、フィルダースチョイス)となった。助っ人が見せた「神走塁」だった。 このプレーがなぜ「野選」と記録されたのか。当該試合を担当した生原記録員に話を聞いた。野選の根拠を次のように話した。「選択肢としては、打球によって進んだのが1つ(タッチアップ)、投球に先立っておれば盗塁。エラーはつけられない。タイミングも打球で行ったわけではない。かといって投球に先立って行ったわけでもないので盗塁もつけにくい。隙を突いた走塁となると、もう野球用語として野選による進塁という選択をする」。「フェアゴロを扱った野手が一塁で打者走者をアウトにする代わりに、先行走者をアウトにしようと他の塁へ送球する行為をいう。また、(a)安打した打者が、先行走者をアウトにしようとする野手の他の塁への送球を利して、1個またはそれ以上の塁を余分に奪った場合や、(b)ある走者が、盗塁や失策によらないで、他の走者をアウトにしようとする野手の他の塁への送球を利して進塁した場合や、(c)盗塁を企てた走者が守備側チームが無関心のためになんら守備行為を示さない間に進塁した場合などにも、これらの打者走者または走者の進塁を記録上の用語として野手選択による進塁という」
例を挙げると、ランナー一塁で犠打成功。プレー後に三塁手が前進しており、三塁ベースに誰もいないのを確認して三塁に進塁するような場合が野選の(b)にあたる。生原記録員によると、今回のサンズの走塁も「同じ感覚だ」という。「どの要素で進んだのか。我々(記録員)としては隙を突いていった(という判断)」とのこと。隙を突いたプレーというものは記録上、「野選しかない」そうだ。今回はフィールド内の飛球だったが、これが仮にファウルゾーンであっても野選になる。また、二塁に投げられてサンズがタッチアウトになっていれば走塁死という記録になる。記録に残らない神走塁をしたサンズ。得点に結びつかなかったが、助っ人外国人でも果敢に次の塁を狙う矢野野球が浸透している印象的なシーンとなった。【林亮佑】
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