20年前に大和証券に入社し、3カ月間の研修を経て7月から関西の営業店に配属となった。新人は配属の抱負を提出することになっていて、営業フロアの入り口に張り出された。私は「日本の資本市場を大きくする」と書いた。「営業頑張ります」「お客さまを何件開拓する」などと書くのが普通だったようで、変わり者の扱いを受けたのが懐かしい。確かに地方店の営業職の新人である。大層なことを書いたな、と思われたが、純粋に証券会社を志望した理由だったからである。
当時停滞していた日本経済には市場メカニズムによる効率化が必要で、金融分野においては直接金融の拡大と資産運用の一般化によって資本市場を大きくしなければならない。そう考えて証券会社の門をたたいた。どちらにも貢献する仕事ができると考えたからである。 当時から「貯蓄から投資へ」というフレーズはあった。しかしなかなか進んでおらず、この言葉だけでは足りないと思っていた。投資が増えるに値するだけの金融市場の充実と市場アクセスの改善・資産運用の高度化を図れば、おのずと「貯蓄から投資へ」は実現する。これもまさに証券会社の責務である。 営業店、その後の市場部門での勤務、昨年からの那覇支店長と、一貫してそのようなことを考えて証券会社の仕事を続けている。この間、上場企業は大変な努力をもって経営改善を続け、証券業界の運用提案も多様化した。NISA制度も拡充され、投資が増えるに値する状況が整いつつあると感じている。1981年12月、米国ニューヨーク州生まれ。生後すぐ帰沖し、昭和薬科大学附属高校卒、早稲田大学政治経済学部卒。2004年に大和証券入社。19年間の県外での勤務を経て、昨年4月から那覇支店長。14代目で初の県出身支店長。趣味は読書とお酒を飲みながらする料理。
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