国際海事機関(IMO)は、短期的な排出量削減策はそれなりに進ちょくしていると主張している。しかし、環境団体だけでなくIMO加盟国からも達成の時間軸が遅すぎるとの不満が聞かれる。
今年11月の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、米国など複数の参加国がIMOに、2050年までの温室効果ガス実質ゼロ目標を採択するよう圧力を強めた。IMOが現状で掲げる「温室効果ガス削減戦略」は、国際海運の総排出量を50年までに08年比で半分にする内容だ。 IMOには排出削減目標実現のための技術開発を目指し、50億ドルの調査研究基金を創設する案が提出されているが、この行方も難航しそうだ。排出削減策を巡る途上国と先進国の姿勢の相違も問題を大きくするとみられる。 海運関連資産運用を専門とするマリーン・キャピタルのトニー・フォスター最高経営責任者(CEO)は「少なくとも欧州の銀行勢は、さらには米国の銀行勢にもほぼ言えることだが、融資に際しては持続可能性の基準を守る義務が出てくることは間違いないだろう」と指摘する。「持続可能性の基準に満たない先に新規融資するのはますます難しくなっていくだろうし、既存資産への追加融資でもそうした基準がさらに厳しくなるはずだ」という。
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