自民党は、派閥の政治資金パーティー裏金事件に関係した議員の処分を巡り、安倍派(清和政策研究会)幹部の一部に「離党勧告」を科す方向で検討に入った。党が定める処分で最も重い「除名」に次ぐ重さ。当初は「選挙での非公認」を軸に処分する方向だったが、岸田文雄首相らによる追加聴取を受け「党勢低迷を招いた反省が足りない」と厳罰化へ傾いた。裏金議員への反発が根強い世論を考慮した。早ければ来月4日にも処分を行う。政権幹部が29日、明らかにした。
自民が既に、清和会会長経験者の森喜朗元首相側から水面下で話を聞き取っていたことも分かった。資金還流が始まった経緯や2022年に復活した状況について尋ね、関与なしと認定したもようだ。追加聴取は現時点で想定していない。野党が反発するのは必至だ。首相は26、27両日、自ら聞き取り役となり、22年8月に安倍派の資金還流の対応を協議した幹部4人を追加聴取した。対象は当時会長代理の塩谷立、下村博文両氏、事務総長だった西村康稔氏、参院側会長の世耕弘成氏。 関係者によると、衆参両院での政治倫理審査会の証言と同様、還流復活を誰が主導したかは明らかにならなかったが、還流復活を漫然と許した安倍派幹部の政治責任は重いと判断した。首相は28、29両日に麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長ら複数の党幹部を官邸に呼び、処分の協議を進めた。
安倍派は長年、パーティー券販売ノルマの超過利益を議員に還流してきた。22年4月、当時会長だった安倍晋三元首相が中止を指示したが、安倍氏死去後に復活させた。同8月の協議内容や還流復活の経緯に関する4人の政倫審の証言は食い違いが出ていた。(共同)
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