被爆の実相、伝えたい G7待つ広島 - 日本経済新聞

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広島市で5月に開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)まで19日で1カ月。同市にある平和記念資料館(原爆資料館)では新たに60点が展示に加わった。焼け焦げた服は爆風のすさまじさを、8月5日で終わった日記は日常の急変を伝える。核の脅威の高まりが懸念されるなか、選定に関わった担当者は「展示を通じ被爆の悲惨さを知ってほしい」と訴える。「一生けんめいすると、何でも面白いと思った」。県立広島第一高等

女学校の生徒だった梅北トミ子さん(当時13)の日記は、うどんを調理して両親に食べさせた1945年8月5日を振り返る言葉で終わっている。翌6日、爆心地からほど近い場所で被爆し救護所に運ばれたが2日後に亡くなった。

日記は2月に新たに展示された。入れ替えにあたった落葉裕信学芸係長は「当たり前の日常が断ち切られたことを感じてほしい」と話す。入れ替えは資料の劣化を防ぐためで2019年から1年ごと行っている。今回は全約300点のうち60点を新たに選んだ。 落葉さんは「被爆者の生きたあかしが伝わるもの」を多く選んだという。「自分も含めあの戦争を知らない人が多いが、被爆者が日々感じたことや家族を思う気持ちに共感し、惨状を少しでも自分のことと考えてほしい」との理由だ。ある男子生徒(当時13)の学生服はやけどで肌に張り付き、脱がすため母親がはさみで切った跡がある。ぼろぼろの革靴は、全身やけどを負いながら自宅を目指して歩き続けた男子生徒(当時14)が履いていたものだ。いずれの持ち主も被爆の数日後に亡くなった。

 

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