棋聖(21)=王将など7冠=が挑戦者に山崎隆之八段(43)を迎える第95期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負(主催・産経新聞社)は1日、名古屋市の万松寺で第3局が指され、藤井が100手で勝利した。3勝0敗として5連覇を達成し、自身初の 永世称号 「 永世棋聖 」資格(襲位は原則引退後)を21歳11カ月で獲得。全8冠の 永世称号 の 最年少 記録・中原誠16世名人(76)が1971年に 永世棋聖 で樹立した23歳11カ月を2年更新した。
王手をかけて臨んだ第3局。後手番から、山崎の得意戦法・相掛かりを受けて立った。銀交換に角交換。さらには飛車交換。派手な駒交換の応酬の末に58手目、7筋への「焦点の歩」に続いて藤井が放った痛打、62手目△8二銀。飛車角両取りだ。相手戦力をそいで勝勢を決定づけた。14歳までを過ごした奨励会時代、指導役の幹事だった山崎に改めて自らの成長を示した。 6月20日の叡王戦第5局、伊藤匠叡王(21)に敗れて2勝3敗で自身初の失冠を経験した。タイトル初挑戦だった20年度棋聖戦以来、敗退は初めてで、自身が持つタイトル連続獲得は歴代最多の22期でストップ。昨年10月11日の王座戦第4局で全8冠を独占して以来、254日で全8冠独占が崩れたショックは感じさせなかった。
終局後の記者会見。「永世棋聖」の揮毫(きごう)を持参した藤井に、6月30日の前夜祭で来場した武蔵川親方(元横綱・武蔵丸)についての質問が飛び出した。「(同親方のように)どんな型でも対応できる力をつけるのが大きな目標です」。藤井自身、その現役時代を知らないが、幕内優勝12回の横綱相撲を81マスの盤上で表現していくのだろう。
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