テレワークやサテライトオフィスなどの柔軟な就労環境の整備は、これまでも「働き方改革」で取り組まれてきたものだ。IT関連業種など「働き方改革」が比較的進んでいた企業では、すでに2月下旬頃から本社機能を全面的にテレワークへと舵を切る動きが出ているが、ここにきて業種の垣根を超えて加速度的に進めざるを得なくなっている。」では、若者の消費行動や価値観の実態を捉えた。近年、生じていた「消費のデジタル化」をはじめとした変化は、新型コロナの影響で、予期せずして加速していると述べたが、働き方においても同様の状況が進んでいるだろう。
本稿では、あらためて、若者の働き方についての価値観や現在の職場環境の実態について捉えるとともに、若者が予想する10年後、すなわち2030年の未来の状況についても見ていく。分析には、前稿と同様、ニッセイ基礎研究所が2020年3月に生活者約6千名を対象に実施した「暮らしに関する調査1」を用いる。また、若者の定義も同様に20~34歳の未婚者とする。はじめに、20~50歳代全体で、働き方についての価値観にはどのようなものがあるのかを捉えた上で、若者の特徴を見ていきたい。 調査では、働き方に関わる30の項目をあげ、それぞれどの程度あてはまるか、「あてはまる」「ややあてはまる」「どちらともいえない」「あまりあてはまらない」「あてはまらない」の5段階の選択肢を用意した。得られたデータに因子分析を行い、働き方についての価値観の要因を分析した(図表1)。各因子を構成する変数から、『業績重視』志向は、性別や年齢によらず、能力や成果に応じて評価されるべき、また、女性だけでなく男性も育児休業等を取るべきという意味合いを持つ。また、『キャリア重視』志向はキャリアップのためなら転職や海外赴任も厭わない、『割り切り』志向は仕事はお金を稼ぐ手段に過ぎない・できればあまり働きたくない、『家族帯同』志向は転勤の際は家族も一緒に行くべき、『勤務先忠誠』志向はできれば同じ会社でずっと働きたい、『生涯就労』志向は高齢期も含めて少しでも働ていたい、『やりがい重視』志向はお金よりもやりがいを重視するという意味合いを持つ。
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