よくキングの小説で共同体の崩壊が最後のカタストロフィになって現れることが指摘されますが、本作に至ってはアメリカ或は全世界が新型インフルエンザで初めっから崩壊するという凄まじい展開になっていて驚かされます。キングという人は破滅願望がある訳ではないでしょうが、やがて現代文明は死滅するという宿業を背負っているという観念を持っているのか、それをこの作品で究極の崩壊を描いていて上下二段組み合計1400ページにわたって追及を極めた感があります。よくぞここまで書いたとその力量に圧倒されました。
個人的に不満があるとすれば、まず善と悪との象徴的戦いに当たって悪の方の親玉らしいランダル・フラッグという存在が超常現象を使えるのにその使える範囲が些か中途半端で強いのか弱いのか判然としないところや、善のほうのマザー・アバゲイルもどういう意味で善の象徴なのが描写不足の感があるところなど。あと、世界が崩壊した社会で大して大勢の人間がいる訳でもないのに、悪の方がその世界を乗っ取って君臨したいという意図がイマイチよく判らない所(この辺はアニメの「未来少年コナン」と似ていなくもない感じがします)。 ともあれ、質量とも膨大で初期キングの集大成の感のある超大作で、読むのに一週間はかかりましたが、この長さで中だるみなどさせず読者を作品世界に引きずり込むその膂力には脱帽しました。キング・ファンはマストの作品。それ以外の方も是非。
人類が死滅したらどうなるか? 1つはっきりしてることは人類がいなかった元の自然には決して戻らないことだ
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ソース: gigazine - 🏆 80. / 51 続きを読む »