能登半島地震で倒壊した石川県珠洲市の自宅から約49時間後に救出された江表(えのおもて)大司郎さん(80)が地震発生4カ月を前にした4月28日、救助活動にあたった京都市消防局あてに感謝を伝える動画を送った。
約2カ月間の入院生活を経て、現在は同県七尾市にある長男の洋司さん(50)の自宅に身を寄せる大司郎さん。4月からリハビリを兼ねて農作業に励んでおり、「これからも長生きしようと思います」と照れくさそうに言葉を添えた。さらに4分後、先ほどとは比べものにならない大きな揺れに、音を立てて和室の天井が崩れ、屋根瓦が落ちてきた。気づくとうつぶせに倒れ、畳や柱などが入り乱れて身動きがとれなくなった。「ここで俺も終わりか」。寒さにもうろうとする意識の中、良くない考えが頭をよぎった。 2度目の夜を越えた3日午後3時過ぎ、寸断されていた道路を迂回(うかい)し、洋司さんと孫の大哉(だいや)さん(19)が駆けつけた。大哉さんが倒壊家屋の隙間に体をねじ込み、呼びかけると、かすかに「うー、うー」とうなるような声が聞こえた。大司郎さんは長時間の圧迫により引き起こされる「クラッシュ症候群」で一時重症となったが、一命を取り留めた。全国的に季節外れの暑さとなった4月28日の午後。石川県七尾市の小さな家庭菜園で、江表大司郎さん(80)がくわを振るい、土を耕していた。夏にナスやキュウリが実り、家族に配るのが待ち遠しいという。元日。大司郎さんは、夕方に発生した地震で倒壊した同県珠洲市の自宅の下敷きになったまま夜を迎えた。暗闇に包まれ、何時間、何日たったかも分からず、「もう終わりだと思った」先に駆けつけた姉から「家が潰れていて声をかけても反応がない」と聞いていたが、洋司さんは「自分の目で確かめたかった」と振り返る。
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