アンドルー・クオモの人生は順風満帆だった。3期を務めたニューヨーク州の人気知事の父を持ち、自身も3期目の同州の人気知事。コロナ対策で株を上げ、次期大統領選への出馬も噂されたほどだ。しかし、セクハラ疑惑が浮上した昨年末から風向きが180度変わり、辞任を表明。今は逆風満帆とでも言えよう。
8月、ニューヨーク州の司法長官が疑惑の調査報告書を公表した。アシスタントや元側近、警護担当など11人の女性に対するクオモ氏のセクハラ行為が赤裸々につづられていた。口にキスしたり、お尻や胸をつかんだり、おなかや足を触ったりした。「年上の男は好きか?」とか、「僕は触られたい!」とか「脱衣ポーカーをやろう!」などと口説いたりした。疑惑が浮上すると事実を隠蔽したり、証言者を中傷したりした。一方、クオモ氏は「不適切な接し方は1回もしていない」と疑惑を強く否定する動画を配信。女性の体に触れたことはセクハラではないと、奇妙な論理で反論した。いわく、「僕は全く同じしぐさを誰にでもする。黒人にも白人にも。お年寄りにも、若者にも。異性愛者にもLGBTQの人にも。権力者にも、友人にも、知らない人にも、道で会った人にも」という。そして、証拠写真がズラリ並んだスライドショーも披露!...
なかにはアル・ゴア元副大統領やビル・クリントン元大統領とのツーショットもあった。セクハラ疑惑を払拭するために、クリントンを引き出すのはなかなか珍しい判断だと思われるけど......。印象として、弁解の中核は I grope everyone(僕はみんなにセクハラする)という主張だったようだ。 クオモ氏がカメラの前でここまで自爆するとは少し驚き。去年、コロナ関連の記者会見はテレビ界の優れた業績に贈られるエミー賞を受賞するほど好評だった。しかし、実はこれも報告書に登場する。関係者の証言によると、事務所に飾ってあったエミー賞の像を見て「こいつ、良いおっぱいしてるだろう?!」というようなことをクオモが言ったそうだ。クオモの自己防衛戦略にはちょっと調整が必要だな...
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