これとは別に、米マサチューセッツ州ではカナダへの渡航歴のある男性1人のサル痘感染が確認された。ニューヨーク市衛生局は19日、市内の病院に入院している患者に感染の可能性があり、検査を行っていると発表した。「現状は極めて異常な状況にあり、科学的に憂慮される水準だ。サル痘は通常であれば西アフリカか中央アフリカでしか報告されず、米国や欧州では見かけない。現在報告されている症例数は、間違いなく我々の正常な水準を逸脱している」。CDCの専門家ジェニファー・マッキストン氏は19日、CNNにそう語った。CDCによると、現在経過観察を続けている6人は全員が健康で、症状はなく、サル痘のリスクは低いとみられている。いずれも感染者の隣に座っていたわけではなく、直接的な接触もなかったという。天然痘ウイルスとサル痘のウイルスは、いずれもポックスウイルス科のオルソポックスウイルス属に分類される。このため天然痘予防のワクチンの中には、サル痘を予防する効果が実証されているものもある。サル痘は天然痘に比べると感染力は低く、重症化もしにくい。
ワクチンの蓄えはあり、必要があれば使用できる状態にあるとマッキストン氏は説明、今回の流行が起きた原因についてはまだ調査が始まったばかりだが、世界の複数の場所で症例が報告されていることを考えると、数週間前から流行が始まっていたようだと指摘した。英国とカナダの保健当局によれば、サル痘の症例の多くは男性と性的関係を持った男性の間で確認されている。ただ、サル痘は一般的に性感染症には分類されておらず、最近の症例については調査が進められている。 サル痘が発見されたのは1958年。CDCによると、実験用に飼育されていたサルの間で天然痘のような疾患の小規模な集団感染が発生したことから、サル痘と命名された。人の症例は70年、天然痘撲滅に力を入れていたコンゴ民主共和国(旧ザイール)で報告された。
米国で前回サル痘の感染が報告されたのは2003年で、感染または感染の疑いのある症例47例が6州で報告された。感染者はいずれも、ペットのプレーリードッグと接触した後に感染していたことが、CDCの調査で判明した。
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