案内板には「鼻ぐり塚」とある。近くに、牛と豚のブロンズ像が祀られている。たれ、鼻輪をはめられる。いずれ肉用牛は出荷され、食肉処理され、肉や皮となってわれわれの生活の糧となる。乳牛も、乳が出なくなった後は食用牛として利用される。唯一、その牛が生きた証を残す遺品。それが鼻輪なのだ。ひとつのアイテムが供養の対象となり、連綿と集められ続けた結果、巨大な造形物となって人々を驚かせるケースもある。そこには、「弔わずにはいられない」理由が隠されているはずだ。珍奇な習俗はなぜ、どのように始まったのだろうか。オミクロン株が今ほど感染拡大していなかった昨年12月、のどかな田園地帯が広がる岡山市吉備津を訪れた。一帯には桃太郎の伝説のふるさと吉備津神社や吉備津彦神社、あるいは近くには教派神道のひとつ黒住教本部などの宗教施設が点在する。いわば、信仰に根ざした地域である。吉備津神社と吉備津彦神社を結ぶ街道沿いに、明治期に創設された
案内板には「鼻ぐり塚」とある。近くに、牛と豚のブロンズ像が祀られている。たれ、鼻輪をはめられる。いずれ肉用牛は出荷され、食肉処理され、肉や皮となってわれわれの生活の糧となる。乳牛も、乳が出なくなった後は食用牛として利用される。唯一、その牛が生きた証を残す遺品。それが鼻輪なのだ。ひとつのアイテムが供養の対象となり、連綿と集められ続けた結果、巨大な造形物となって人々を驚かせるケースもある。そこには、「弔わずにはいられない」理由が隠されているはずだ。珍奇な習俗はなぜ、どのように始まったのだろうか。オミクロン株が今ほど感染拡大していなかった昨年12月、のどかな田園地帯が広がる岡山市吉備津を訪れた。一帯には桃太郎の伝説のふるさと吉備津神社や吉備津彦神社、あるいは近くには教派神道のひとつ黒住教本部などの宗教施設が点在する。いわば、信仰に根ざした地域である。吉備津神社と吉備津彦神社を結ぶ街道沿いに、明治期に創設された
肉好きなら一度は参るのが正解。
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