2011年3月11日午後2時46分。東北の三陸沖で、日本の観測史上最大となるマグニチュード9.0の大地震が発生、その30分~1時間後に太平洋沿岸を大津波が襲った。このとき私は名古屋社会部所属で名古屋にいた。ちょうど休みの日で自宅にいたが、直後に携帯と家の電話が同時に鳴った。召集がかかり、すぐに本社へ向かった。(「序章」より)
どう書けば、彼らの人柄や日常の様子が読者に生き生きと伝わるだろうか。上司と相談しているうちに、一人ひとりの作業員が語った「日誌」という形をとろうと決まった。そして何度か書いているうちに原稿の形が浮かび上がってきた。(「序章」より) 衝撃的だったのは、この章の冒頭に登場する「ハルトさん(35歳)」の項に付けられた「事故当時の中高生がイチエフで働くように」という見出しである。9年も経っているのだから当時の中高生が社会人になっていて当然だが、普段あまり気にすることのない(しかし気にしなければいけない)現実を目の前に突きつけられたような気がしたのだ。
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