好相性のコースで、5バーディー、3ボギーの68をマークし、「気持ちだけでやった」と気迫十分。稲森佑貴(28)=国際スポーツ振興協会=ら3人が5アンダー首位で並び、3打差に上位15人がひしめく初日で存在感を示した。
やはり主役はこの男だ。名物の18番が大拍手で沸いた。実測220ヤードのパー3。石川が「魔のホール」の第1打で4ユーティリティーを迷わず振り抜いた。急傾斜の高速グリーンで唯一の好機、ピン手前4メートルにつける好ショット。「寒いから奥にはいかない。一番いいラインについた」。真っすぐ打ったバーディーパットはカップ左縁をなめ、ガックリとしゃがみ込んだが、初日はバーディー2人だけという難設定のホールをパーで締めて、大会初日の自己ベストに1打差に迫る68。首位と3打差で足取りは軽かった。 気温8・6度と一気に冷え込んだ真冬の戦い。石川の経験が生きた。出場回数は14度目の谷原、池田に続く13度目。過去9度、トップ10に入った大会だ。朝の練習場からグレーのニット帽で防寒。1番でドライバーを左隣の10番ホールに曲げるボギー発進となったが、傾斜の強いグリーンにショットでは正確性が試され、「寒さで飛ばないが、球をコントロールすること」と心がけた。6番の第1打でフェアウェー中央に運んで初バーディー。16番、17番の連続バーディーで流れをつくり「いい上がり方。集中力を切らさずにできた」とうなずいた。
2020年から再現性を求め、トップを浅くしたスイングに改造。前年覇者として出場した20年大会はスイング変更も道半ばで6位だった。課題のドライバーなど長いクラブで攻める「ロングゲーム」に手応えを持ち始めた先月の三井住友VISA太平洋マスターズで2年11か月ぶりの復活優勝。自信をつけて「すごく好きな大会」に帰ってきた。初日ラウンド後は「ドライバーはコースマネジメントの範囲内」とし、約20分でショット練習を切りあげ、急傾斜のグリーンの対策に時間を割いた。 20年大会は無観客開催で自身は3年ぶりにファンの前で迎えた。それだけに早くも4番で4メートルのガッツパーが出て「気持ちだけでやった」と気迫がにじむ。初日は12位ながら首位と3打差。過去2勝は初日を終えてともに4打差以内につけており、史上7人目の大会3勝目は射程圏内。「最終日に優勝争いができるように必死に頑張る」と石川。最終日に最終ホールを今年一番の熱狂で包む。(宮下 京香)硬くて速いグリーンが特徴。すり鉢状の観客席に囲まれ、数々のドラマを生んだ名物ホール。手前から攻めるのがセオリーとされる。距離があるだけに向かい風の場合、第1打でウッドを使う選手も多い。第35回(1998年)大会でE・エレラが大会史上初のホールインワンを達成したのが唯一。この日の平均スコアは3.3333で、最も難しいホール。▽19年大会 初日3打差8位発進。2打差5位で迎えた最終日に66で、通算8アンダーで並んだケネディ(豪州)とのプレーオフを3ホール目で制した。▽大会3度目の優勝...
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