首位の座をキープした。町田で攻守に存在感を増す22歳が、パリ五輪アジア最終予選を兼ねたU―23アジア杯(カタール・ドーハ、15日開幕)で、8大会連続の五輪切符獲得を狙う大岩ジャパンの救世主となる。
2度目のチャンスを信じていた。前半32分。左サイドにボールが出ると、藤尾はマークする川崎のU―23日本代表DF高井より、一瞬早く動き出してフリーに。MF藤本のラストパスを「思い通りのボール(パス)が来たので、決めるだけでした」と右足で押し込んだ。 この日は前半9分、GKとの1対1を外していた。しかし「試合早々にチャンスがあったら、もう一回来るなって思っているので。気にしていても、しょうがないので」。ミスを悔やむことなく、ポジティブ変換する“ストライカー向き”の性格で、今季3ゴール目。この1点が、試合を決める決勝弾となった。 C大阪の下部組織出身で、将来を嘱望された。だが、J2への育成型期限付き移籍を繰り返し、昨季町田へ。黒田剛監督(53)は当初「ひょろっとした感じで使えるのかな…」と疑問を抱いたというが、細身の体に宿した能力が花開きつつある。筋トレで体も強化し、得点力や裏に抜け出すセンスにキープ力も加わった万能型のFWとして、J1初挑戦の町田で攻撃のキーマンとなっている。
この日は後半26分、GK谷が退場して10人に。終盤は押し込まれたが、藤尾はチームトップの12・3キロを走り抜く献身性と守備センスで、完封に貢献した。パリ五輪を目指す大岩ジャパンにおいても、攻守で役割を全うできる藤尾の存在価値は大きい。「個人の結果も大事ですけど、一番はチームが五輪出場権を獲得すること。そこに向かってやっていきたい」。J1首位に立つ町田の原動力としてつかんだ自信を胸に、堂々と五輪切符を懸けた舞台に挑む。(金川 誉)(ふじお・しょうた)2001年5月2日、大阪府出身。22歳。C大阪の下部組織から20年にトップ昇格。21年途中にJ2水戸、22年は同徳島、23年は同町田に育成型期限付き移籍。昨季町田で8ゴールとJ1昇格に貢献し、今季は完全移籍。お気に入りのアーティストは「友達の影響で好きになった」という浜崎あゆみ。184センチ、79キロ。右利き。
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