物流の2024年問題、つまり、トラック運転手の時間外労働制限に伴う輸送能力不足によって関連ビジネスにどのような影響をもたらすのでしょうか。ここでは、運転手を抱える運送会社とメーカーや小売りなど物流業務を委託する荷主企業、そして一般消費者のそれぞれに及ぼす影響をみていきます。
「ドライバー」の労働時間抑制は運転手自身の収入減少に直結します。そうなれば運転手の離職増加など人材流出への懸念が広がりかねません。運送会社にとっては、人材確保のため運転手への待遇改善の必要性が強まるほか、ドライバーの稼働時間抑制に伴う長距離輸送の制限といった悪影響も考えられます。収益の源泉となる運転手の稼働時間抑制と人件費上昇は、売り上げや利益にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。 また、時間外労働を避けるための運送会社側の集荷時間の変更による集荷や納品スケジュールの見直しが必要になり、メーカーなどは製造や納品のリードタイムの短縮など製造計画の見直しを迫られる可能性があります。こうした要因は関連企業の収益に影響を及ぼしかねません。このように、運送会社や荷主企業がさまざまな悪影響を被ることで大幅な物流コストの上昇につながる恐れがあり、最終的にそのコストは一般消費者にも波及することが想定されます。これまで当たり前のように享受していた当日・翌日配送といった便利なサービスが受けられなくなったり、より良いサービスを受けるには追加のコストが必要になったりするかもしれず、一般消費者にとっても物流の2024年問題は対岸の火事ではないのです。
トラック運転手不足への対応として、トラックなどの自動車で行われている貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと輸送手段を転換する「モーダルシフト」が進むとの見方もあります。また、無人で走る自動運転の実用化に向けた動きもあります。物流ＤＸの関連銘柄としては、日本郵政（6178）やヤマトホールディングス（9064）、NIPPON EXPRESSホールディングス（9147）、ＳＧホールディングス（9143）といった物流大手のほか、物品を輸送・荷役・保管するのに使われるパレットのレンタル・販売を手掛けるユーピーアール（7065）、日本パレットプール（4690）、物流ソリューションを展開するダイフク（6383）やトーヨーカネツ（6369）、フォークリフト大手の三菱ロジスネクスト（7105）、物流関連で倉庫自動化システムを提供するＹＥ...
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