焦点:米財政赤字拡大、来年の大統領選で争点化されない事情

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来年の米大統領選に向け、6月下旬に野党・民主党の候補指名レース参加者が行った討論会では、「財政赤字」という言葉は全く口にされず、政府債務への言及も1回きりだった...

米財政政策専門シンクタンク、超党派政策センターのシニアバイスプレジデント、ビル・ホーグランド氏は、債務増加を放置するのは玄関床下にシロアリを巣食わせるようなもので、普通に出入りしているうちに突然、床が崩れ落ちると警告する。現在の債務総額は22兆4000億ドルと過去最悪。米国民1人当たりではおよそ6万8000ドルの借金となる。今年の財政赤字は、オバマ前政権の最終年度だった17年度の6660億ドルから、9000億ドルに増え、22年までに年間1兆ドルに達する見通しだ。米経済が拡大し、物価上昇率と失業率が低く、株価が最高値圏で推移している今、本来なら政府は債務を減らす絶好の環境を生かせる立場にある。ところが実際には正反対の行動が続いている。民主党の大統領候補指名で現在最も優位に立つバイデン前副大統領は11日、共和党が福祉関連予算をいずれ切り捨てるための口実として、高水準の債務を抱えた財政運営をしていると非難した。

ある地域住民リーダーはこうしたバイデン氏の発言を称賛し、「民主党候補で初めて、財政赤字に実質的な意味で言及した。私はそれを評価する。赤字問題は重要だ。共和党が赤字を気にするのは、民主党が政権の座にある場合だけのように見える」と語った。 ただ全体的には、与野党ともに大統領選で赤字・債務問題の解決に切り込むための具体策を進んで示そうとする雰囲気は見えない。重視しているのは医療や移民、温暖化といった分野だ。財政改革を提唱する民間団体「責任ある連邦予算委員会」を率いるマヤ・マグギネス氏は、あり得ないはずの「財政のフリーランチ(ただ乗り)論」を利用して有権者にアピールするという点で、今は与野党間に緊密な協調態勢が整っている、とあきれる。

 

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