そして筋肉の温度が低下すると、体は深刻な冷却状態になります。体が極度に冷却されると身体・精神に影響を及ぼし、最終的には意識がなくなり死を迎えます。しかし、救助後、毛布にくるまれ温かい飲み物を受け取った段階ではあったものの、ヒューイットさんの体温は35.7度もありました。これは「極度に体温が低い」状態とは言えません。これには、ヒューイットさんの体格が大きく関わってきたとみられています。
ヒューイットさんは身長180cm、体重99kgの筋肉質な男性であり、同時に脂肪も多かった様子。体脂肪が1%増えると1時間ごとの体温低下も0.1度違うと言われており、大柄なヒューイットさんは低温に対する「断熱材」を持っていたと言えます。また、熱を失うことを避けるため、意識的に膝を抱えた胎児の体勢を取っていたことも生存時間を延ばすのに役立ったとみられています。そして、救助してもらえることになったとしても、気は抜けません。水から救い出された時の圧の変化や、「救助されたのだ」という考えに神経系が強く反応することから、救助時に衰弱することも少なくないのです。ヒューイットさんが救助される時も頭への血流を維持すべく体勢を水平に保つこと、そして「命のために戦い続けること」への応援がレスキュー隊員によって続けられたといいます。
もちろん低温症だけでなく、水中にいることによる脱水症状も大きな危険となります。水中に長らくいると、例え脱水症状の時でもウエットスーツや水による圧力で排尿作用が促進されてしまいます。そのため、ヒューイットさんのような状況に追い込まれた時は、1日目には水を飲まず、体が水分を蓄えるようにホルモンを変化させることが重要です。そして、2日目以降は1日500mlほどの水分に抑えます。ヒューイットさんはウエットスーツのジャケットに雨水をためて飲んだそうですが、それでも1日500mlには届かなかったそうです。 また、救助されたとき、ヒューイットさんの皮膚は海ジラミで覆われており、かなりのダメージを受けていたとのこと。そして3日間の漂流は精神にも大きな影響を与え、3日目にはヒューイットさんは自殺というアイデアと戦ったといいます。
脂肪を身につけておくこと、胎児のポーズを取る事、水分を取らないことなどは学べる点ですが、ヒューイットさんが主張する最も大切なことは「1人でダイビングしないこと」。できるだけグループでダイビングを行い、「1人で流されてしまう」という状態を避けるのが重要であるとのことです。
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