ようやく足を踏み入れることができた人道援助の最前線。 アフリカ・スーダンのダルフール地方にある国内避難民キャンプをはじめて訪れたとき、僕は興奮していた。 「やっと自分のやりたかった仕事ができる」 サラリーマンを辞め、1年以上のフリーター期間を経てつかんだ国境なき医師団でのはじめての仕事。苦労はあったけれどこれで報われる。 だが同時に、28歳当時の僕は都合のいいことも考えていた。 「現場での人道援助を1、2回だけ体験して、あとはMBA(経営学修士)を取りに行こう。そしてその後、キャリアを活かして順風満帆な人生を送ろう」と。 ところが、とんでもなかった。ここからが怒濤の国際人道援助「現場10年」の始まりだった。 いまだから告白する。この避難民キャンプを訪れた初日、2時間ぐらいですぐに日本に帰りたくなっていた。とにかく強烈だったのだ。暑さとにおいが―。
その日の気温は45度。車にエアコンはなく、着いたときから吐き気がして足元はフラフラ。患者であふれかえった待合室、満床の入院病棟、子どもたちの泣き声。五感に飛び込んでくるすべてに圧倒された。医療現場で使う消毒液と、たくさんの入り乱れる人のにおいにめまいがして、すぐにトイレにかけこんだ。 トイレは清潔には保たれていた。だが日本のような水洗式ではなく、いわゆる“ボットン便所”。汲み取り式でもなく、いっぱいになったらそのまま埋めてしまい、また新しいものをつくる形式。 その排泄物の強烈な臭いで鼻がもげそうになり、そこであえなくノックアウト。意気揚々と行ったのに、その後は仕事にならず、宿舎に帰る時間まで休憩室で横になっていた。自分が、情けなかった。 その日の夜、宿舎で晩ご飯を食べているとき、落ち込んでいる僕にアメリカ人のベテラン医師が声をかけてくれた。...
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