今年の大河ドラマ『どうする家康』は、徳川家康が主人公。主役を松本潤さんが務めている。今回は家康・織田信長の連合軍と、武田勝頼率いる武田軍が激突した長篠の戦いの直前で、家康の窮地を救った鳥居強右衛門のエピソードを紹介する。また武田方に通じる徳川家臣・大岡弥四郎らが、武田の軍勢を三河足助(豊田市)方面より岡崎城に引き入れ、クーデターを起こそうと画策していたが、そうした動きも、武田の三河侵攻に関連していたのだろう。武田勝頼は、先鋒隊を足助方面に侵攻させ、自らは同年4月15日に出馬した。これは同月12日に甲府の躑躅ヶ崎館(つつじがさきやかた)において、亡父・武田信玄の3回忌法要が営まれるからであった。続いて、東三河に進行した武田軍は、野田城(新城市)を落とし、4月29日には吉田(豊橋市)方面に迫る。武田軍が長篠城を囲んだのは、5月1日であった。長篠城を守るのは、奥平信昌。父・定能とともに武田方を離れ、家康に降った武将だ。
しかも、信昌は家康の長女・亀姫との婚姻も決まっていた。交通の要衝にある長篠城を武田勝頼が落としたいと思うのは当然だが、それだけではなく、武田勝頼の心中には奥平氏への遺恨もあったのだろう。奥平信昌もそのことは十分自覚しており、武田に降るという選択肢はなかった。
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